バイオマス発電や東京電力グループと共同で電力小売(新電力)の事業を行っているイーレックス(erex)。ベトナム、カンボジアの発電事業に力を入れており、2030年時点で売上高5,358億円、経常利益602億円を目指す。足元の年間売上高2,190億円という規模感の売上高を倍増させる計画だ。今後のイーレックスの業績と株価の行方は?
再生可能エネルギーのイーレックス、JEPX価格で変動する利益!(2021年8月29日投稿)
再生可能エネルギーと新電力のイーレックス(erex)、JEPX価格の高騰の影響は?(2021年2月13日投稿)
■基本情報(2023年12月8日時点)
- 株価:567円(10年来高値:3,320円)
- 時価総額:337億円
- 予想PER:赤字
- PBR:0.6倍
- 予想配当利回り:未定
- 自己資本比率:37.3%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:17,149人(2023年3月31日時点)
■イーレックスの業績は?
イーレックスの2024年3月期の第二四半期の売上高は1,209億円(前年比△12.1%減)、営業利益△107億円(前年同期は108億円の黒字)と減収赤字転落となった。イーレックスの売上総利益率は△4.4%(前年は+11.7%)、営業利益率は△8.9%(前年は+7.8%)。
イーレックスの売上総利益は前年の161億円→△53億円と△214億円の悪化、販管費は53億円→54億円と+1億円の増加となり、営業利益は△215億円の悪化となった。イーレックスにいったい何が起こっているのか?
■イーレックスの事業状況は?
イーレックスの業績が悪化している。何が起こっているのか?イーレックスは電力価格の高騰を見込んだ電源構成で電力調達していたものの、想定が外れて、電力価格が高騰せず、逆ザヤ状態になっている。つまり、高く仕入れて、安く売っているため、売上総利益がマイナスになっている。
また、石炭価格の高騰により、糸魚川発電所の稼働を抑制したこともマイナスに作用している。電力小売の需要減も発生し、余剰分をJEPXに逆ザヤで卸売販売した結果、その影響もマイナスで作用している。
イーレックスは自社発電の割合が低く、相対取引、JEPXで電力を調達して、小売として販売している。そもそも、電力価格の変動でリスクの高いビジネスをしており、今期はそのリスクが顕在した形だ。数年前にJEPX価格が高騰したときは、反対に大きな利益を計上することができた。
■壮大な2030年の計画!
イーレックスは2030年に売上高5,400億円、経常利益600億円という壮大な目標を発表した。そのうち、国内は売上高3,000億円、経常利益149億円。ベトナム事業(バイオ発電、燃料事業)は、売上高1,920億円、経常利益316億円。カンボジア事業は売上高392億円、経常利益137億円としている。
かなりチャレンジングな計画に見えるが、実現可能なのだろうか?東南アジアは経済成長が続くこと、エネルギー消費量も右肩あがりで増えることなど、マクロな視点があるものの、チャンスが大きいのであれば、他の企業も参入するだろう。
■どこまで下がる株価?
イーレックスの時価総額は約340億円。年初来安値を更新中だ。すでに2021年8月につけた上場来高値から6分の1くらいまで株価は下落している。イーレックスは再エネ企業というよりも、電力小売の商社という位置づけ。脱炭素など世の中の情勢があるものの、あくまで仲介している企業であり、再エネのテーマが再熱したときに株価が上昇するか見えない点がある。
将来的に、売上高5,400億円、経常利益600億円を達成できる場合、時価総額は2,000~4,000億円くらいまで上昇する可能性はある。再エネのレノバ、エフオンなども株価は下落しており、当面は様子見が無難だろう。
過去最高益のレノバ、特殊要因による一時利益約100億円計上!(2021年5月16日投稿)
以 上