靴を中心としたECサイト展開のロコンド、YouTuber活用も成長鈍化か!?

 靴のECサイト「LOCONDO.jp」や楽天やPayPayなどの他社モールに出店しているロコンド。2021年7月14日に2022年2月期の第一四半期の業績を発表した結果、翌営業日の7月15日は株価が大きく下落した。総取扱高は増加しているものの、コロナ禍前の2019年の1Qとくらべると、成長率が大きく鈍化していることなどが影響か。営業利益は黒字化しているものの、投資家の期待値が高いことが要因で、株価の下落トレンドが止まらない。ロコンドの業績と株価の行方はどうなるのか?

過去最高益で株価下落のロコンド、ユーチューバーの活用の行方は?(2021年4月17日投稿)

■基本情報(2021年7月16日時点)

  • 株価:1,601円(10年来高値:4,180円)
  • 時価総額:184億円
  • 予想PER:23倍
  • PBR:4.04倍
  • 予想配当利回り:0.62%
  • 自己資本比率:63.8%
  • 会計基準:日本基準

■ロコンドの業績は?

 ロコンドの2022年2月期の第一四半期の売上高は23.1億円(前年同期比+18%)、営業利益3.2億円(前年同期比+120%)の増収増益となった。ロコンドの売上総利益率は+84.2%、営業利益率は+13.8%。ロコンドの決算説明資料をみると、ロコンドの定義の売上総利益率は商品取扱高との比較であり、今回は+38.6%(前年同期は+38.2%)となっている。

 ロコンドの商品取扱高は50.5億円で前年同期は40.1億円だったため、前年同期比は+26%と大きく増加している。しかしながら、2019年のコロナ前は48億円だったため、今回と2019年をくらべると+5.2%の伸びにとどまっている。ロコンドは「商品取扱高を伸ばすことが会社の成長につながる」ことを強調しており、その成長ストーリーがそれほど順調に進んでいない結果となった。

■前年同期比の損益は?

 ロコンドの2022年2月期の第一四半期の営業利益は3.2億円。前年は1.4億円だったため、大幅な増益に見えるものの、前期は倉庫移転費用1.2億円があったため、それを控除すると前年同期は実質2.6億円の営業利益と見ることができる。

 前年はユーチューバーのヒカルなどとのコラボレーション企画によりプライベートブランドの「ReZARD(リザード)」の貢献があり、今期はその一時的な利益が剥落していると思われる。

■ロコンドへの期待は?

 ロコンドは2030年に商品取扱高1,000億円を目指しており、2020年の206億円から5倍となる成長目標をかかげている。商品取扱高1,000億円になったときには、営業利益の目標は100億円(2020年は営業利益14億円)。

 ロコンドはユーチューバーとのコラボレーション企画などで注目を集めているだけでなく、輸入コスメ、プライベートブランド、M&Aなど商品取扱高の成長に向けたさまざまな取り組みを行っている。これらの施策がECサイトのユーザー増にマッチすれば、自然な成長が目指せる可能性がある点が魅力だ。ただ、靴(シューズ)のECサイトでは、楽天やアマゾン、ZOZO、マルイなど競合も少なくない。「オリエンタルトラフィック」のダブルエーなどは自社サイトを強化している。ロコンドだけが簡単に伸びていく市場環境ではない。

■ロコンドとカタログ通販企業との業績比較

 ロコンドとカタログ通販企業と呼ばれるベルーナ、スクロール、アイケイ、そして、ZOZO(ゾゾ)、靴のヒラキの業績を比較してみた。各社の売上総利益率は30%~60%の間。ベルーナ、アイケイなどは化粧品などの商品も含むため売上総利益率が高い。注目すべきはネット通販主体の企業でも営業利益率10%を超えることは、なかなか難しいということだ。

複合通販企業グループのスクロール、生協向けカタログ通販からeコマース!コロナ禍で業績好調(2021年5月8日投稿)

 株価は「今」の利益状況だけでなく、成長性を加味した利益の伸びも考慮される。結局は株を買いたい人が多ければ株価は上昇するのだが、ロコンドは期待値が高く、株価は上がりやすい傾向にある。いっぽう、スクロールやヒラキは利益率だけを考えるとロコンドよりかなり割安だ。

ネット通販好調な靴のヒラキ、巣ごもり需要取り込みで業績は堅調!(2021年9月26日投稿)

(画像1)カタログ通販企業との業績比較

■ロコンドの株価の行方は?

 ロコンドの時価総額は約180億円。2020年3月の最安値から株価は2020年9月までの半年間で6倍以上に高騰。その後、株価は右肩さがりで下落している。今回の決算動画のなかで、ロコンドの田中社長は「第二四半期もきびしい」と述べており、次回の決算も好調な業績発表とならない可能性があり、失望売りがつづいている。

 現状は1,555円の年初来安値が抵抗線になっており、これを下回ると当面は浮上できない可能性がある。去年の9月以降にロコンド株を買ったホルダーはほぼ含み損のため、あたらしいサプライズがないと上昇トレンドへの転換はむずかしい。たしかに今の利益水準で時価総額180億円は割安感があるものの、短期的にトレンドが変わる見通しは見当たらない。第二四半期は昨年の「ReZARD」特需の剥落が更に前年同期比でのマイナス要因になり、きびしい決算になるのではないだろうか。少なくとも、チャートがヨコヨコになるまでは様子見が無難だ。

(画像1)ロコンドの株価推移

以 上

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