国内中小企業に特化したM&A専門家のオンデック、成約件数は横ばいがつづく!

 国内の中小企業に特化したM&A専門家集団(M&Aブティック)のオンデック。規模がまだ小さいものの、新規受託件数は右肩あがりで増えている。いかに、成約件数を増やすかが課題。従業員数は2019年の29名から、2021年39名、2022年52名と堅調に増加している。今後のオンデックの業績と株価の行方はどうなるのか?

中小M&A仲介のオンデック、紹介を通じて企業売買をマッチング!(2022年5月2日投稿)

■基本情報(2023年7月21日時点)

  • 株価:999円(10年来高値:7,330円)
  • 時価総額:28.6億円
  • 予想PER:18.6倍
  • PBR:2.49倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:90.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,239人(2022年11月30日時点)

■オンデックの業績は?

 オンデックの2023年11月期の第二四半期の売上高は2.7億円(前年同期比△57.0%減)、営業利益△1.8億円(前年同期は+1.0億円)と大幅な減収と赤字転落となった。オンデックの売上総利益率は+18.3%(前年は+52.3%)と大きく悪化。成約件数は8件のため、1件あたり約33.5百万円の取引高となっている。

 去年の2022年11月期の第二四半期の成約件数は9件、1件あたり69百万円であることを考えると、大型案件がなかったか、案件の規模がかなり小さくなっていることがわかる。また、受託済案件数(いわゆる受注残高に相当)の公表をなぜか注視しているのも気になる。

■オンデックのビジネスモデルは?

 オンデックはM&Aを成約させて、売り手・買い手の双方から手数料を徴収するビジネスモデル。そこでポイントとなるのは、いかに案件を多く抱えるか。売り手の案件はオンデック1社に委託しているだけでなく、他のM&A業者にも委託をしているはずだ。また、最近はM&Aマッチングサービスであるトランビ(TRANBI)」や「バトンズ(BATONZ)」などもあり、そちらにも登録している可能性がある。

 オンデックは、公的機関、金融機関、証券会社などと連携し、案件の掘り起こしを実施している。オンデックのこれまでの累計成約件数は265件、案件規模は10億円未満がほとんどだ。平均報酬単価は55百万円となっており、今期の成約平均単価33.5百万円がいかに小さいかがわかる。いっぽうで、去年の69百万円が予想外に大きかったことがわかるだろう。

■オンデックの利益構造は?

 オンデックの有価証券報告書をみると、社員の平均年齢は35.9歳、平均勤続年数は2.6年、平均年収は906万円。従業員数56名(2023年5月末)で計算すると、年間で約5.1億円の人件費が発生する。現状の売上規模では赤字が予想される。

 いっぽうで、上期の成約件数はたった8件。現状、コンサルタントが46名活動しており、将来的な成約のパイプライン(見込み成約案件)が多数動いている可能性があり期待できる面もある。コンサルタントが年間平均1件の成約をすると仮定すると、成約件数は46件×55百万円で売上高は25.3億円くらいを期待できる。成長のポテンシャルとしては、このくらいはあるだろう。

■オンデックの財務状況は?

 オンデックの2023年5月末の財務状況をみると、現預金は9.3億円、有形固定資産はほとんどない。負債は、有利子負債ゼロで、財務的には健全だ。

 オンデックのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは未払金の減少などにより△3.9億円、投資CFは保証金の支払いで△43百万円、財務CFは△14百万円、結果として現預金は△4.5億円の減少となり、期末現預金は13.8億円→9.3億円に減少している。

■オンデックの株価推移は?

 オンデックの時価総額は約30億円。オンデックはコロナ禍の2020年12月29日に東証マザーズに上場。公開価格は1,550円(時価総額:43億円)、初値は4,500円(時価総額:125億円)だったものの、現在は公開価格も割れて、個人投資家はほぼすべて含み損の状況だ。

 オンデックの先行きについては、すでに10年以上の経験があり、中小企業のM&Aは増えていくことは間違いないので、その世の中の流れをどう考えるか次第。あとは、大型のM&Aに参入できれば、収益力がさらに増えるのではないだろうか。M&Aは大型であろうが、中型であろうが、手間はそれほど変わらない。規模が大きい案件ほど手数料が大きくなるだけだ。

(画像1)オンデックの株価推移

以 上

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