ライブ配信コミュニケーションの「ツイキャス」を運営しているモイ。2012年2月設立、2022年4月に東証グロースに上場したIT企業。上場により約5.5億円を調達。2023年4月末時点の従業員数は39名の少数精鋭の会社。2023年1月の当初の業績予想は、売上高77.4億円、営業利益2.9億円だったものの、実績は売上高66.1億円、営業利益1.0億円と大幅な未達となった。今後のモイの業績と株価の行方は?
■基本情報(2023年6月23日時点)
- 株価:373円(10年来高値:1,387円)
- 時価総額:52億円
- 予想PER:104.1倍
- PBR:3.08倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:50.1%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:5,270人(2023年1月31日時点)
■モイの業績は?
モイの2024年1月期の第一四半期の売上高は16.0億円(前年同期比△1.0%減)、営業利益は48百万円(前年同期比+75.4%増)の減収増益となった。モイの売上総利益率は+49.4%(前年は+49.5%)、営業利益率は+3.0%(前年は+1.7%)。
モイの売上総利益は前年の8.0億円→7.9億円と0.1億円の減少。販管費は7.8億円→7.4億円と△0.4億円の改善となり、売上総利益と差し引きすると営業利益は+21百万円となった。ただ、売上高や売上総利益が減少に転じており、成長性はほぼゼロの状態。現在の時価総額は50億円前後であるものの、今後は20~30億円くらいまで下落する可能性もある。
■モイの事業内容は?
モイは「ツイキャス」というライブ配信のサービスを提供している。ライブ配信サービスは、個人がライブをすることでポイント(投げ銭など)を視聴者から得ることにより、可処分時間を消費させるビジネスだ。コロナ禍で、ストリーミング配信の動画サービスであるHulu、ネットフリックス(Netflix)、AmazonプライムビデオやYouTubeなどが可処分時間の消費を広げ、従来のテレビ放送などの視聴時間が大きく減ったと言われている。
コロナ禍でライブ配信サービスも大きく可処分時間を獲得し成長した分野のひとつ。ライブ配信サービスでは「ツイキャス」以外では、Pococha(DeNA運営)、17LIVE(サイバーエージェント)、ふわっち(jig.jp)などが有名だ。
■利益モデルは?
モイの利益モデルはポイント販売、メンバーシップ売上高、プレミアム配信売上の3つから構成されている。ただ、ポイント販売売上が全体の約9割を占めており、ポイント販売以外(メンバーシップ売上、プレミアム配信)は非常に小さい。
これらの売上高から、ライブ配信者(ライバー)へのユーザ報酬、手数料、インフラ費用などの原価が発生する。アップル、グーグルに支払うプラットフォーム利用料も含まれる。
■モイの財務状況は?
モイの2023年4月30日時点の財務諸表をみると、現預金は19億円、売掛金10億円となっている。負債は、買掛金7.8億円、未払金3.3億円、預り金3.9億円となっており、財務的には健全だ。
■モイの株価推移は?
モイの時価総額は約50億円。2022年4月27日に東証グロースに上場し、初値は株価902円の時価総額119億円。すでに半値となっている。ここ最近の四半期売上高の推移を見ていると、すでに成長感がなく、売上高の横ばいが続いている。成長性と収益性が低いため、現状の株価はなかなか維持できないのではないだろうか。
以 上