マンガアプリや占いアプリなどのエンタメ系サービスの事業を行っているand factory(以下、アンファク)。2014年9月設立、従業員数は118名(2022年5月末)。IoT事業としてホテル事業を行っていたものの、コロナが直撃して撤退を発表。現時点も30億円規模の販売用不動産を抱えている。インバウンドが復活し、タイミングを見計らって簿価相当額での売却を目指している。
漫画アプリのand factory(7035)、コロナ禍でIoTホテルは苦戦!?(2020年8月9日投稿)
■基本情報(2022年10月21日時点)
- 株価:377円(10年来高値:2,840円)
- 時価総額:37億円
- 予想PER:58倍
- PBR:6.87倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:11.1%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:4,284人(2021年8月31日時点)
■アンファクの業績は?
アンファクの2022年8月期の売上高は28.3億円(前年比△6.9%減)、営業利益66百万円(前年は△83百万円)の減収黒字転換。しかしながら、特別損失を計上しており、前年の△5.6億円につづき、今回も△3.5億円の当期純損失となった。時価総額は11.1%(純資産:5.4億円)と債務超過が見えてきそうだ。
アンファクの売上総利益率は+57.4%(前年は+54.9%)。売上総利益額は前年16.7億円→今回16.3億円と若干減少したものの、販管費が17.5億円→15.6億円と約2億円の削減によりなんとか黒字となった。アンファクの給与水準は平均年収578万円、平均年齢32.7歳と決して悪くはない。
■アンファクの事業状況は?
アンファクはマンガアプリ事業(マンガUP!、マンガPark、マンガMee、サンデーうぇぶり、マンガTOPなど)の出版社と開発したマンガアプリの運営をメインにおこなっている。ここ最近は平均ユーザ数の伸びが停滞している。
マンガアプリはビーグリー、LINEなどライバルが多い領域。他社も頑張っているなか、アンファクのアプリを伸ばしていくのが難しくなっている。テレビCMなどを行って新規ユーザの流入を促している状況だ。
もうひとつは占いアプリだ。ただ、現在の売上規模は月間40百万円程度。年間で5億円弱の事業規模だ。営業利益がプラスであることが救い。2022年11月頃からは恋愛相談Live配信サービス「Lapikana(ラピカナ)」をスタート予定。占いから恋愛相談につなげる戦略だ。アドバイザーと1対1で相談するというもの。
■アンファクの財務状況は?
アンファクの自己資本比率が11%と低い。2022年8月31日時点の財務諸表をみると、現預金は4.8億円、販売用不動産が31億円計上されている。いっぽう、有利子負債は約33億円計上されており、販売用不動産をいかにうまく売却するかがポイントになる。
幸い、2022年10月から海外からの個人旅行が解放され、販売用不動産(ホテル)の需要が高まる期待感がある。ホテルは東京に2か所、大阪に2か所の合計4か所を保有している。東京は開業せず、大阪は2021年10月から休業中だ。
■アンファクの株価推移は?
アンファクの時価総額は37億円。一時は200億円くらいの時価総額があったものの、ほとんどの投資家が含み損をかかえている状況だ。コロナ禍で苦戦したホテル事業は売却するので出口が見えているものの、マンガアプリの停滞も気になる。アプリ開発などのテクノロジー力のある会社ではあるものの、競争がはげしくなってきているため、挽回をはかれるか様子見が必要だ。
本来であれば、資金に余裕をもってゲーム事業などに参入するのがよいものの、いまの財務状況ではこれ以上の大きなリスクを抱えることはできないだろう。
以 上