ソフトウェア製品の不具合検出のデジタルハーツHD、安定成長つづく!

 システム・ソフトウェア製品の不具合を検出してデバッグ(修正)する品質保証業務を行っているデジタルハーツホールディングス(以下、デジタルハーツ)。不具合を検出するテスターは約8,000人(登録者含む)を超える。ソフトウェア検証だけでなく、ゲーム特化型のカスタマーサポートなどもおこなっている。デジタルハーツの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年7月9日時点)

  • 株価:1,518円(10年来高値:2,200円)
  • 時価総額:363億円
  • 予想PER:23.4倍
  • PBR:5.76倍
  • 予想配当利回り:0.98%
  • 自己資本比率:39.7%
  • 会計基準:日本基準

■デジタルハーツの業績は?

 デジタルハーツの2021年3月期の売上高は227億円(前年比+7.2%増)、営業利益19.1億円(前年比+36.9%増)の増収増益となった。デジタルハーツの売上総利益率は+28.4%(前年は+26.4%)、営業利益率は+8.4%(前年は6.6%)と改善傾向となった。

 デジタルハーツの販管費は45.2億円(前年は41.8億円)と売上高に対して約20%となっている。販管費の内訳をみると、人件費(役員報酬含む)が約20億円となっている。ソフトウェア検証は労働集約型ビジネスでありテスター(検証する人)をいかに集めるかがビジネスのポイント。採用費も相当かかっていると思われる。

■デジタルハーツの事業内容は?

 デジタルハーツの事業は、エンターテインメントとエンタープライズの2つに分けている。売上高はエンターテインメントが156億円(前年比△2.9%減)、エンタープライズが70億円(前年比+39.8%増)となっている。営業利益をみると、エンターテインメントが30.8億円、エンタープライズが1.9億円となっており、エンターテインメントが損益を引っ張っている構造だ。

 エンターテインメント事業は、ゲーム、モバイル、パチンコ・パチスロ関連となっている。スマートフォンの普及により爆発的にスマホアプリのソフトウェア検証業務が増えていると思われる。エンタープライズは通常の企業関連のシステム検証などだ。

■デジタルハーツの競合他社は?

 デジタルハーツの競合他社は、急成長中のSHIFT(シフト)や東証マザーズ上場のバルテスなど。SHIFTは前年比+60%近い成長率(売上高の伸び率)となっており、業績を急拡大させている。SHIFTの2021年8月期の業績予想は売上高450億円、営業利益34億円。デジタルハーツは売上高280億円、営業利益21億円のため、SHIFTは規模的にはデジタルハーツの約1.5倍ほどとなる。時価総額を比べてみると、デジタルハーツは約360億円であるものの、SHIFTは約3,400億円と10倍近い差となっている。

ソフトウェアテストのSHIFT(シフト)、成長再加速で株価は上場来高値更新!(2021年7月10日投稿)

■デジタルハーツの株価推移は?

 デジタルハーツの時価総額は約360億円。競合他社のSHIFTの時価総額3,400億円とくらべると割安感が大きい。なお、バルテスは売上高53億円、営業利益3.4億円で時価総額は約120億円。ソフトウェアテスト事業は労働集約型ビジネスでそれほど利益率が高い事業ではない。SHIFTもデジタルハーツも売上総利益率はだいたい+30%前後。そこから販管費を考慮すると、営業利益率+10%を超えることはむずかしい。

 SHIFTは前年比+60%近い成長を続けているため、株式市場では上昇トレンドが止まらない状況だ。デジタルハーツに足りないのは成長力。前年比2ケタで成長できるようになれば、株価はここから伸びていくのではないだろうか。

(画像1)デジタルハーツの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする