海外のパーソナルショッパーを活用したECプラットフォーム「BUYMA」を運営しているエニグモ。コロナ後の株価の高値から5分の1くらいまで下落している株価。含み損をかかえている投資家が多いだろう。円安による海外との取引が割高に見えて、なかなか取引高が増えない状況だ。しかしながら、株価が落ち込み、安値での仕入れ時とも言える。今後の業績と株価はどうなるのか?
成長停滞のエニグモの「BUYMA(バイマ)」、再成長の可能性は?(2023年9月2日投稿)
「BUYMA」のエニグモ、戦略投資により広告費増に伴い営業利益は大幅減!(2023年5月2日投稿)
マーケットプレイス「BUYMA(バイマ)」展開のエニグモ、年間売上高は70億円突破!(2021年7月4日投稿)
■基本情報(2023年12月22日時点)
- 株価:331円(10年来高値:1,823円)
- 時価総額:141億円
- 予想PER:18.7倍
- PBR:1.31倍
- 予想配当利回り:3.02%
- 自己資本比率:80.0%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:8,328人(2023年1月31日時点)
■エニグモの株価推移は?
エニグモの2024年1月期の第三四半期の売上高は43.4億円(前年比△8.5%減)、営業利益4.9億円(前年比△41.0%減)の減収減益。エニグモの売上総利益率は+78.3%(前年は+79.9%)、営業利益率は+11.2%(前年は+17.4%)と悪化している。
エニグモの売上総利益は前年の37.9億円→34.0億円と△3.9億円の減少、販管費は前年の29.6億円→29.1億円と△0.5億円の減少となり、差し引きで営業利益は△3.4億円の減少となった。売上規模が大きく下がり、売上総利益が悪化しているものの、販管費はそれほど抑制できていない。広告宣伝費は約3億円抑制したものの、人件費が2.3億円ほど増加。
エニグモの2023年1月時点の従業員数は115名、平均年齢34.6歳、平均年間給与は711万円と低くない。2022年1月時点の平均年収は649万円だったので、約60万円ほど平均で給与アップしている。
■エニグモの事業状況は?
エニグモはパーソナルショッパーが海外のモノを販売できるプラットフォームの「BUYMA」を運営している。いまは円安の影響で海外の製品が割高に見えることが売買低迷の要因のひとつと思われる。円高に振れると、「BUYMA」の取引は活発になると予想できる。
「BUYMA」の現在の課題はアクティブ会員数がコロナ時の2021年にピークをつけてから下落傾向になっている点だ。現在はコロナ前の2019年を下回るアクティブユーザ数になっている。取扱件数はピーク時から2割以上も下回っている。心配なのは、為替レートが円高に振れたときに、顧客が本当にもどってくるかどうか。
ネットビジネスはクックパッドで見ているように、突然死のように需要が下がりだすと回復させる手段がないケースがある。あたらしい競合がでてきたり、代替品となる需要が生まれ、そちらに需要を奪われるケースがあるからだ。
■エニグモの財務状況は?
エニグモの2023年10月31日時点の財務諸表をみると、現預金は99億円、投資有価証券は15億円となっている。負債は、有利子負債はゼロ、預り金は20億円。ネットキャッシュは約100億円と考えることができる。財務状況は健全だ。
■エニグモの株価推移は?
エニグモの時価総額は約140億円。ネットキャッシュが100億円あることを考えると、事業価値は約40億円となる。現状、年間で約6~7億円の営業利益を出せる企業としては割安な価値だ。心配なのは、この利益創出力がより減少していく可能性があるかどうか。その見極めが重要だ。
日銀がマイナス金利を解除すると、日本の金利は上昇に圧力がかかる。グロース銘柄にとっては金利上昇が株価を押し下げる要因になるので、マクロ経済の動向にも注意が必要だ。
以 上