成長停滞のエニグモの「BUYMA(バイマ)」、再成長の可能性は?

 海外のパーソナルショッパーを活用したECプラットフォーム「BUYMA」を運営しているエニグモ。これまで高成長、高収益を維持してきたものの、ここにきて成長性が大きく停滞している。インフレや円安による日本国内の購買力の減少が背景にあるのか?今後のエニグモの業績と株価の行方は?

「BUYMA」のエニグモ、戦略投資により広告費増に伴い営業利益は大幅減!(2023年5月2日投稿)

マーケットプレイス「BUYMA(バイマ)」展開のエニグモ、年間売上高は70億円突破!(2021年7月4日投稿)

■基本情報(2023年9月1日時点)

  • 株価:383円(10年来高値:1,823円)
  • 時価総額:163億円
  • 予想PER:21.7倍
  • PBR:1.55倍
  • 予想配当利回り:2.61%
  • 自己資本比率:76.8%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:8,328人(2023年1月31日時点)

■エニグモの業績は?

 エニグモの2024年1月期の第一四半期の売上高は15.9億円(前年比△4.8%減)、営業利益2.3億円(前年比△57.6%減)の減収減益。エニグモの売上総利益率は+77.2%(前年は+80.1%)、営業利益率は+14.4%(前年は+32.6%)と大きく悪化している。

 エニグモの売上総利益は前年の13.4億円→12.3億円と△1.1億円の減少、販管費は前年の7.9億円→9.9億円と+2.0億円の増加となり、差し引きで営業利益は5.4億円→2.3億円と△3.1億円の悪化となった。粗利が減って、販管費が増えたという良くないパターンだ。

 販管費の中身をみると、広告費が前年の3.0億円→3.9億円と+0.9億円の増加、人件費が3.5億円→4.4億円と+0.9億円の増加となり、この2つが販管費増の要因だ。なお、エニグモの総取扱高は前年の152億円→143億円と△9億円の減少となっている。

■BUYMAのKPIは?

 エニグモはパーソナルショッパーが海外のモノを販売できるプラットフォームの「BUYMA」を運営している。そのBUYMAのKPIをみると、会員数は前年同期で989万人→1,077万人と引き続き増加。しかしながら、アクティブユーザは前年の134万人→122万人と大きく減っている。取扱件数も62万件→53万件に大きく減少しており、円安の影響もあり、取引高数が大きく減っていることが悩ましい。

 リアル店舗への回帰(巣ごもり需要の復活)と言ってしまうのは簡単であるものの、平常時に戻ったとみるべきか、それとも、減少トレンドとみるかでエニグモのとらえ方が変わる。投資家は成長性が鈍化していると考え、株価にはマイナスインパクトと考えるのが妥当だろう。いつ下げ止まるかわからないので、いったんはエニグモから離れるという選択肢が妥当だからだ。

■BUYMAの対策は?

 BUYMAの打開策として、テレビCMを実施しており、この費用増が大きい。ただ、正直、テレビCMの効果がどこまで出るか不明感はある。「BUYMAってよいよね」という口コミが広がっていくような下地があればよいものの、クーポンなどの一時的な消費で終わってしまうのではないだろうか。

■エニグモの財務状況は?

 エニグモの2023年4月30日時点の財務諸表をみると、現預金は102億円、投資有価証券14億円など。負債をみると、預り金23億円で有利子負債はゼロ。利益剰余金は105億円まで貯まっている。財務的には健全だ。

■エニグモの株価推移は?

 エニグモの時価総額は約160億円。まだダウントレンドがつづいているように見える株価チャート。なかなか赤字になる利益構造ではないものの、ジリジリと株価は低迷をつづけそうだ。チャートだけ見ると割安感があるように見えるため、個人投資家が継続的に下値で購入するのではないだろうか。

(画像1)エニグモの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする