CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」のプレイド、四半期比で成長停滞!

 顧客の過去データではなく、いま訪問する顧客をウェブ上で解析するCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を提供しているプレイド(PLAID)。一時は時価総額1,500億円を超えいていたものの、1年ちょっとで10分の1まで株価は下落。ここにきて、四半期比で売上高が減少するというグロース銘柄にあってはならない状況に陥った。プレイドの業績と株価の行方は?なお、企業名のPLAIDはPLAY&AID(遊びと助け)からきている。

CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE(カルテ)」展開のプレイド、グーグル出資の期待ベンチャー企業!(2021年5月5日時点)

■基本情報(2022年8月10日時点)

  • 株価:374円(10年来高値:5,080円)
  • 時価総額:144億円
  • 予想PER:ー(赤字)
  • PBR:3.35倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:56.9%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:5,412人

■プレイドの業績は?

 プレイドの2022年9月期の第三四半期の売上高は54.2億円、営業損益は△6.3億円。プレイドの売上総利益率は第三四半期、72.2%と70%台を維持している。売上高54.2億円、売上総利益39.5億円、販売管理費45.8円のため、営業損益は△6.3億円のマイナスとなった。

 プレイドで注目すべきは、四半期比で売上高が減少してしまったこと。2022年9月期の1Qは売上高17.6億円、2Qは18.6億円、今回の3Qは18.0億円とサブスクリプション型(ストック型)の売上高も16.3億円→16.2億円と減少に転じてしまった。これは一時的な要因などではなく、非常に深刻な状況だ。その結果、売上総利益額でも減少し、顧客社数も686社(1Q)、699社(2Q)、691社(3Q)と減少に転じている。しかも、顧客単価も下落傾向だ。いっぽう、従業員数だけが上昇しており、282名まで増加している。

■プレイドの事業内容は?

 プレイドはサブスクリプション型で提供する「KARTE」という独自のリアルタイム解析エンジンを活用したウェブ分析に特化した企業。いわゆる、ビッグデータ企業のひとつ。

 これまでは顧客数、顧客単価などの過去のデータ中心だったデータ分析から、顧客の行動データを蓄積・可視化して、事業者が顧客の状態やニーズを直感的に理解できる環境・サービスを提供するようになった。

 そのデータをもとに、メール配信、ウェブチャット、SMS(ショートメッセージ)配信など顧客マーケティングに特化するサービスを提供しているのが「KARTE」だ。契約している顧客企業約700社の内訳は、EC関係(ファッション、美容・健康、ライフスタイル)、求人、金融、不動産などウェブを活用した企業が中心だ。

■グロース銘柄の危機!

 プレイドは四半期ベースでマイナス成長になった。すでに株価は上場来高値から10分の1くらいまで下落しているものの、時価総額100億円割れもあり得るかもしれない。プレイドの販売管理費の内訳が開示されていないためわからない点があるが、現時点でどこまで利益を出せる利益構造かよく見えない。

 グロース銘柄のSaaS企業(サブスクリプション型企業)であれば、広告宣伝費除きベースで利益がでています、と明示するケースが多いが、プレイドは公表していないため実力値がわからない。

 いずれにしろ、顧客企業の脱退が発生しており、解約率も年間1%という規模ではないかもしれない。プレイドの年間売上高は約70億円と考えると、顧客700社を前提に計算すると1社あたり約1,000万円の年間支出。効果みえなければ、削減するのも仕方ないだろう。

■プレイドの財務状況は?

 プレイドは資本金と資本準備金で約70億円を調達しているものの、利益剰余金のマイナスはすでに△30.6億円となっている。ただ、現預金は47.3億円もっており、有利子負債18億円を差し引くと、約30億円ほどのネットキャッシュをもっている。この状況が数年つづいても大丈夫だろう。この数年のあいだに、どこまで成長できるかが勝負だ。

■プレイドの株価推移は?

 プレイドは危機的だ。株主数は5,000名を超えており、ほとんどの人が大きな含み損を抱えている状態。SaaSモデルのため、売上高が前年比で2倍~3倍に増えることもないため、このまま低迷がつづきそうだ。

 ただ、株価がここから更に下がれば、プレイドを買収したい企業も出てくることから下値は限定的と考えてもよいかもしれない。たとえば、ラクスやSansan、サイボウズなどのSaaS企業が新たなサービスとして「KARTE」を展開すると販促コストが大きく下がり、収益に大きく貢献するからだ。プレイド単独で考えると悩ましい。

(画像1)プレイドの株価推移、右肩さがりの横ばい状態

以 上

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