グローバルENS(Expert Network Service、エキスパートネットワークサービス)や国内事業者向けにインタビュー、オンラインサーベイなどサービスを展開しているビザスク(VISASQ)。営業収益は拡大しているものの、のれんの償却の影響が大きく、営業利益はほぼゼロ。株価も2021年9月の最高値から6分の1くらいまで下落している。今後の株価と業績の行方はどうなるのか?
米国Coleman買収のビザスク、グローバルENSの事業展開の行方は?円安で苦戦も!(2022年11月5日投稿)
エキスパートネットワークサービス(ENS)のビザスク、Coleman(コールマン)買収で事業規模拡大!(2022年8月28日投稿)
■基本情報(2023年4月21日時点)
- 株価:1,350円(10年来高値:7,120円)
- 時価総額:123億円
- 予想PER:123.5倍
- PBR:3.94倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:57.5%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:4,015人(2022年2月28日時点)
■ビザスクの業績は?
ビザスクの2023年2月期の売上高は83.8億円(前年比+126.4%増)、営業利益4百万円(前年は△1.1億円の赤字)と増収であるものの利益はゼロの状況だ。ビザスクは売上総利益を算出していないため、ビザスクの粗利を把握することができない。
ビザスクの2022年1Qの売上高は5.6億円、2Qは6.2億円、3Qは6.9億円、4Qは18.3億円、2023年1Qの売上高は19.6億円、2Qは21.8億円、3Qは21.6億円、4Qは20.7億円とColeman買収により前年比では大きく業績は成長しているものの、2023年2Qの売上高をピークの売上規模の下落がつづいている。成長性が大きく低迷しており、これまでの成長期待=株価が一気にはがれた形だ。
■ビザスクの事業ポジションは?
ビザスクのメインとするグローバルENSの市場規模は年平均+15%で増加。ビザスクはColeman買収により、日本と米国でアドバイザー数で優位に立つポジションを築いた。現状は190か国、56万人超のアドバイザー数を有している。
ビザスクの2023年2月の取扱高は123.8億円(営業収益:83.8億円)、前年の56.9億円(37.0億円)から大きく増加。取扱高と営業収益の比率のテイクレートは、70%前後で推移している。この差額の30%はアドバイザーへの支払い手数料と考えられる。営業費用については、欧米における採用増加により、営業費用の65%前後は人件費が占めている。ビザスクは限界利益や粗利を開示していないため、将来的に売上規模がどこまで増えれば、どのくらいの利益がでるのか見通しできないのが悩ましい。
■2024年2月期の業績予想は?
ビザスクの2024年2月期の業績予想は、取扱高144億円(前年比+16%増)、営業収益97億円(前年比+16%増)、調整後EBITDAは14億円(前年比+21%増)の計画。ここから、のれん等の償却費が差し引かれることにより△11億円の調整が入り、営業利益は3億円前後の予想と推測することができる。
償却費はあくまで会計上の支出であるため、実際はキャッシュが+10億円超で増える利益モデルと理解できる。しかしながら、ビザスクは無形識別資産(PPA)とのれん、で約140億円ほどの無形資産を計上しており、将来的に償却が続くことがわかる。償却費を超える利益を出せるかどうかが、今後の成長のカギとなる。
■ビザスクの財務状況は?
ビザスクは2021年8月にColemanを約110億円で買収。あわせて第三者割当増資により95億円ほど資金調達している。ビザスクの2023年2月末の財務状況は、現預金38.8億円、無形資産140億円を計上している。いっぽう、有利子負債は約36億円とそれほど多くない。1年前の2022年2月末時点の有利子負債は約41億円だったため、約5億円の有利子負債を返済している。
ビザスクはキャッシュベースで業績をみないと、実態が見えない。ビザスクの2023年2月期の営業CFは+15.2億円、投資CFは△4.3億円となっている。営業CFをしっかり稼げているので、現在の時価総額120億円は過小評価されていると言えるだろう。
■ビザスクの株価推移は?
ビザスクの時価総額は約120億円。営業CFを1年間で15億円生み出せる企業としては過小評価されていると言えるだろう。米国のリセッション入りが気になるものの、将来的にはビザスクの業績拡大は続くものと思われる。ただ、米国の経済状況次第では、グローバルな企業再編やM&Aが下火になる可能性があり、ビザスクの業績には不確定要素が存在するのは確かだ。ただ、ここから株価が半値になるリスクは相当低いのではないだろうか。
以 上