美顔器等の美容機器メーカーのヤーマン(YAMAN)、中国本土の販売好調!

 RF美顔器(ラジオ波の美顔器、Radio Frequency)、ムダ毛ケア光美容器のレイボーテ、顔の表情筋を鍛えるメディリフトや化粧品などを自社ブランドを展開している美容機器メーカーのヤーマン(YAMAN)。ヤーマン独自の製造小売システム(SPA)で年間20アイテム程度を市場に投入しているファブレスメーカー(自社工場を持たないメーカー)。業務用から家庭用までの美容機器をラインナップし、独自のポジションを築いている企業だ。ヤーマンの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年6月18日時点)

  • 株価:1,360円(10年来高値:2,788円)
  • 時価総額:793億円
  • 予想PER:17.3倍
  • PBR:4.42倍
  • 予想配当利回り:0.29%
  • 自己資本比率:65.3%
  • 会計基準:日本基準

■ヤーマンの業績は?

 ヤーマンの2021年4月期の売上高は366億円(前年比+59.4%増)、営業利益61.2億円(前年比+144.2%増)の大幅な増収増益となった。ヤーマンの売上総利益率は+64.2%(前年は+64.5%)、営業利益率は+16.7%(前年は+10.9%)と高い水準となっている。4年前の2018年4月期は売上高230億円、営業利益53.9億円、営業利益率+23.4%と高い水準で、当時、株価は上場来最高値をつけている。

 2020年4月期は新型コロナウイルスの影響により、インバウンド需要が激減し、店舗向け卸販売が大きく落ち込み、前年割れの業績となっていた。2021年4月期は「巣ごもり需要」の取り込みや海外部門(主に中国本土)が好調で、前年を大きく上回る結果となった。いっぽうで、「巣ごもり需要」による一時的な特需の要因を考慮して業績を見るべきことに注意が必要だ。

 ヤーマンは美容健康機器のブランドメーカー。いかにブランド力を高めるかが重要だ。2021年4月期の広告宣伝費は100億円。前年度の広告宣伝費は57.3億円だったことを考えると、「巣ごもり需要」取り込みの機会に攻めのマーケティングを実施し、結果的に業績の大幅改善につながっている。補足として、研究開発費も4.1億円と前年度の2.6億円から大きく増やしている。

■ヤーマンの主力製品は?

 ヤーマンの売上高の77%は自社企画・製造のオリジナル商品。化粧品の売上構成は12%、その他の仕入品(他社製品)は11%となっている。ヤーマンの主力製品はRF美顔器、ムダ毛脱毛のレイボーテ(光美容器)、顔の筋肉を鍛えるメディリフト、電動頭皮ブラシのアセチノ(myseブランド)などの美容機器が主力だ。

 化粧品としてはオンリーミネラル(ONLY MINERALS)のブランドで展開している。シミを防ぐホワイトニングファンデーションや高保湿ローションなど。

 RF美顔器はシリーズの累計販売台数は250万台を突破し、美顔器マーケットでは市場シェア1位となっているようだ。ヤーマンは1978年設立の美容機器メーカーとしては老舗中の老舗。40年以上も美容健康機器に特化したビジネスをおこなっている。ヤーマンの強みは特許取得数289件と単なるマーケティング会社とは一線を画している点だ。

■ヤーマンの販売チャネルは?

 ヤーマンの販売チャネルは「YA-MAN ONLINE STORE」によるネット通販(直販)、店販卸として直営店、家電量販店、百貨店、免税店などへの販売。そして、テレビショッピングやカタログ通販などによる販売、海外ビジネスの4つの販売チャネルにわけている。

 売上規模がもっとも大きいのは直販部門で121億円(前年は58.4億円)。その次は海外部門の110億円(前年は49億円)とつづく。直販部門は新型コロナウイルスの「巣ごもり需要」の拡大による影響が大きい。海外部門は中国本土のネットショッピングモール「T-mall(Tモール)」の販売が非常に好調に推移した。

■ヤーマンの中期・長期目標は?

 ヤーマンの中期経営計画として売上高500億円、営業利益率20%以上を掲げている。この中期経営計画には特に期限は明記されていない。長期目標としては売上高1,000億円、営業利益率20%以上となっている。

 すでに売上高366億円、営業利益率+16.7%のため、中期経営計画の売上高500億円、営業利益率20%以上はそれほど高い目標ではない。心配な点は直販部門の売上伸びが新型コロナウイルスの影響による一時的なものか見極めが必要な点だ。海外部門の伸びは中国本土が堅調に推移したことが背景で、今後も継続的に伸びていくものと思われる。

■ヤーマンの顔専門トレーニングジムとは?

 ヤーマンは新しいビジネスにも進出している。顔専門トレーニング事務の「FACE LIFT GYM」だ。現在、東京の青山と銀座にオープンし、パーソナルトレーニングとしてヤーマンの美容健康機器をつかったトレーニングを提供している。

 基本コースは30分5,500円。基本コースは頭皮のもみ出し、表情筋トレーニングをおこなって表情の印象アップを目指すもの。基本的に高い価格帯であるものの、美意識の高い富裕層には抵抗感のない価格帯かもしれない。

■ヤーマンの株価の行方は?

 ヤーマンの株価は2018年5月に最高値をつけてから下落し、コロナショックの2020年3月に安値にタッチ。そこから「巣ごもり銘柄」として上昇したものの、再び下落トレンドとなっている。正直、業績的には株価指標の割高感はないものの、以前ほど株価上昇の勢いはない。すでに時価総額は800億円規模と大きく、株価の急騰を期待するのはむずかしいかもしれない。

 いっぽうで、安定的な成長銘柄としては期待できる。長期投資として10年くらいのスパンで考える場合は選択肢のひとつとして面白い銘柄だ。今後の期待としては中国本土の拡大。中国の市場規模は大きく、中国で大ヒットすれば長期目標の売上高1,000億円も早い段階で見えてくるはずだ。

(画像1)ヤーマンの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする