中堅・中小企業向けにクラウド型の経費精算システムやIT人材派遣を展開しているラクス(3923)。株価の上昇が止まらない。NTT(日本電信電話株式会社)出身の社長が引っ張る勢いある企業だ。
■基本情報(2020年5月1日時点)
- 株価:1,675円
- 時価総額:1,500億円
- 予想PER:213.6倍
- PBR:30.6倍
- 予想配当利回り:0.19%
■ラクスの事業内容は?クラウドサービスだけはない!
中小企業の様々な業務を効率化するため、クラウドサービス(Saas)として「楽々」シリーズを展開しているラクス。経費精算、Web請求書発行システム、労務管理サービス、販売管理業務システムなどを展開しつつ、IT関連の人材派遣・紹介(ラクスパートナーズ)を展開している。従来のパッケージソフトとして提供する会社とは異なり、クラウド型というのが新鮮だ。
競合他社としてはSanSan(サンサン)、リクルートグループ、サイボウズなどが考えられる。IT人材派遣・紹介関連であればパソナテック、ギークス(7060)など山ほど同業他社があるのが現状だ。
高収益のクラウドサービスを展開しつつ、すでに競争がはげしいIT人材派遣・紹介に参入したのは何か思惑があるのか?新しい事業に参入することで事業規模を継続的に拡大したいのはわかるものの、ラクスの特徴である高収益・高成長をこのまま維持できるのだろうか。
■売上高110億円規模、時価総額は1,500億円超!?
ラクスもすでに従業員は連結ベースで1,000人近くなっており、中堅企業の規模を超えている。継続して前年対比で成長してくためには新しい事業に参入する必要があったかもしれないが、なぜクラウドサービスの横展開ではなかったのだろうか。
ラクスの時価総額はすでに1,500億円規模になっており、予想PERは200倍を超えている。いったん、成長の鈍化が見えてくれば、どこかで株価の大きな調整は起こりえるかもしれない。
足元の2020年3月期第三四半期の決算短信をみると、売上高は84億円で前年同期対比で+32.8%成長しているものの、営業利益は約9億円で前年同期比で△26.2%の減少となっている。2019年度(2019年4月~2020年3月)までは成長投資の時期と位置づけているものの、新型コロナウイルスの感染拡大により、人材派遣・紹介関連の事業は難しい局面をむかえるのではないだろうか。
■ラクスの株価チャートは?今後はどうなるのか?
ラクスの直近の株価チャートを見ると、節目となる1,800円を超えていくことができず跳ね返されている。マザーズの激しい株価の上下の動きのなか、いったん、下方向に株価が動くと20%~30%くらい下落してもおかしくないかもしれない。
時価総額が1,500億円規模となっており、ラクスがこの時価総額を維持していくためには投資家に新たな期待を持たせる施策(新規事業、M&A、協業など)が必要ではないか。
以 上