「お客さま相談センター」など顧客の声を一元管理する顧客対応DXプラットフォーム事業「Discoveriez」を展開しているジーネクスト(G-NEXT)。顧客からのクレームや改善要望などを商品開発や業務フロー改善に役立てる仕組みを提供しているジーネクスト。個人的に期待されるのは2021年11月から本格的にスタートするスマホアプリ「優待Wallet」だ。株式優待を一元管理する仕組みはこれまでなく、先駆者になることで新しい市場を切り開けるかもしれない。
■基本情報(2021年10月1日時点)
- 株価:812円(10年来高値:3,145円)
- 時価総額:34億円
- 予想PER:40.3倍
- PBR:4.47倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:69.2%
- 会計基準:日本基準
■ジーネクストの業績は?
ジーネクストの2022年3月期の第一四半期の売上高は1.1億円、営業損失△90百万円。前年同期の業績を開示していないため、前年同期比での変動はわからないが、ジーネクストの事業は下期にむかって伸びていく事業構造のようだ。
ジーネクストの売上総利益率は+33.6%。ジーネクストの2022年3月期の業績予想は売上高10.4億円、営業利益1.1億円、売上総利益率は+63.6%。ジーネクストはフロー型のビジネスモデルからストック売上高への転換をはかっている。現時点では利益構造が分かりにくい。
■ジーネクストのビジネス内容は?
ジーネクストは「お客さま相談センター」など顧客の声を一元管理する顧客対応DXプラットフォーム事業「Discoveriez」を展開している。いわゆる、カスタマーリレーションシップ(CRM)というサービスを展開しているIT企業。もともとは「BizVoice」「BizMail」「QA Doc」などのサービスを展開していて、2019年11月に「Discoveriez」にリニューアル統合した。
ジーネクストはクラウド事業とオンプレミス事業(顧客のサーバーなどにシステム導入するモデル)の2つに分かれる。クラウド事業も全体の約86%がフロー型の売上高となっており、安定的な成長を目指してストック型への転換を図る方針だ。クラウド事業は導入料+ライセンス利用料の2つに分かれ、大半の収益は導入料からきているものと思われる。
現在のジーネクストのビジネスモデルは、ラクス、freee(フリー)、マネーフォワード、サイボウズなどのストック比率の高い売上モデルではなく、売り切り型のフロー中心のビジネスになっていることが大きな課題。
クラウド会計のfreee(フリー)、成長速度は変わらず、上場来高値更新!(2021年2月14日投稿)
クラウド好調のラクス、戦略的な先行投資で利益は前年同期比で減少!(2021年8月14日投稿)
「kintone」などグループウェアのサイボウズ、2021年は積極投資で増収減益の見込み!(2021年3月28日投稿)
■ジーネクストの顧客は?
ジーネクストの顧客は食品・日用品・外食企業が多い。アサヒグループ、紀文、ミツカン、良品計画、ポッカ、オートバックスセブンなど大手も少なくない。現在の「Discoveriez」の累積導入件数は2021年3月末時点で97件。正直、まだ100件も導入に至っていない。
現在のジーネクストの年間売上規模は10億円ほど。ここから年間売上100億円~200億円を狙える事業であるか見極めが必要だ。ジーネクストは「顧客対応のDX化を促進し、企業価値の向上に貢献」としているが、本当に大きなマーケットがあるか考えてみる必要がありそうだ。
■期待される「優待Wallet」とは?
ジーネクストで期待できそうなんもはスマホアプリの「優待Wallet」だ。2021年11月から本格的にスタートするアプリ。株主優待を一元管理でき、これまでなかったサービスだ。かりに「優待Wallet」の導入が進めば、ウィルズが展開しているプレミア優待倶楽部のようなポイント制の優待サービスを新規展開することも可能だ。
「優待Wallet」は個人の利用ユーザーから使用料を徴収しなくても、広告や優待提供している企業から料金を徴収するビジネスモデルも可能だ。外食やスポーツジム、交通機関など優待クーポンの転売なども多く、これらを制限する機能を付加することで、これらの企業から料金を徴収することも可能だ。また、「優待Wallet」が普及すれば、株主優待の送付などのコストも削減できそうだ。
■ジーネクストの株価推移は?
ジーネクストの時価総額は約34億円。上場時の高値からすでに株価は3分の1まで下落。いまの時価総額や株価をみると割安感があるように見えるものの、ストック型の売上モデルでもないので、年間売上高10億円前後でほとんど利益がでない可能性もありえる。
本当にストック型売上高に移行できるか様子見が必要だ。累計導入件数が100件に満たないことも心配だ。あくまで累計導入件数であって、いまも使用されているかは開示されていない。
以 上