「クラウド会計×Fintech」のマネーフォワード、加速する成長速度!

 法人、個人、金融機関向けにクラウドサービス(SaaS)やFintechサービスを展開しているマネーフォワード(Money Forward)。これまでは法人向けのMoney Forwardクラウド(会計ソフト)と会計簿・資産管理アプリのイメージが強かったものの、マーケティング支援や金融機関のFintech推進やDX推進にもサービスを展開している。マネーフォワードの今後の業績と株価の行方はどうなるのか?

「Money Forwardクラウド」を展開するマネーフォワード(3994)、目指す「お金のプラットフォーム」!(2020年11月29日投稿)

■基本情報(2021年4月16日時点)

  • 株価:5,190円(10年来高値:5,325円)
  • 時価総額:2,481億円
  • 予想PER:-(赤字予想)
  • PBR:25.44倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:45.9%
  • 会計基準:日本基準

■マネーフォワードの業績は?

 マネーフォワードの2021年11月期の第一四半期の売上高は34.7億円(前年同期比+44.8%増)、営業利益+0.8億円(前年同期は△6.3億円の赤字)と黒字転換となった。マネーフォワードの売上総利益率は+73%と過去最高を記録。これまでも売上総利益率は70%前後で推移してきた。

■マネーフォワードの売上総利益率の推移は?

 マネーフォワードは成長投資を優先し、これまでは営業赤字が続いてきたものの、ついに営業黒字に転換。マネーフォワードは高い売上総利益率のため、売上規模が一定規模を超えると爆発的に営業利益が上昇するビジネスモデルとなっている。

 ほかのクラウドITサービス(SaaS)のfreee(フリー)、ラクス、サイボウズ、Sansanなどと同じ利益構造で、広告宣伝などの販管費の投資をしながら、いつでも利益を出せる体制を築いている。マネーフォワードは前期より広告宣伝費を除くと、実質的に営業黒字となっている(EBITDA参考)。

クラウド会計のfreee(フリー)、成長速度は変わらず、上場来高値更新!(2021年2月14日投稿)

クラウド経費精算のラクス、前年比+30%を超える成長つづく!(2021年2月13日投稿)

■マネーフォワードの事業内容は?

 マネーフォワードはSaaS×Fintech領域で事業をおこなっている。法人向けではバックオフィス(経理財務、人事労務)、マーケティング向けにクラウドサービスを展開。個人向けでは「Money Forward ME」にて無料でも利用できる家計簿・資産管理アプリを展開している。金融機関向けにはFintechやDX推進サービスをおこなっている。

 マネーフォワードとしては会計クラウドのイメージが強かったものの、事業領域は一気に拡大しており、日本を代表するクラウドサービス企業になっている。しかも、金融機関向けに強いのが特徴だ。

■さまざまな企業に対応!

 マネーフォワードは個人事業主~上場企業まで対応できるサービスラインナップをそろえているのが特徴だ。会計、労務、契約、経費精算までカバーしており、企業のデジタルトランスフォーメーションの改善にマッチするサービスを展開している。新型コロナウイルスの拡大によるリモートワーク推進などはマネーフォワードにとってプラスで寄与している。

■金融機関との連携!

 マネーフォワードは「Money Forward X」というセグメントで金融機関向けのサービスを展開している。たとえば、銀行、証券会社、生保などは顧客向けの資産管理サービスをマネーフォワードと連携して展開している。金融機関が提供しているサービスの裏にはマネーフォワードが支援しているのが実情だ。また、世の中はデジタル通帳の流れにあり、そのサービスもマネーフォワードは支援している。

■マネーフォワードの株価の行方は?

 マネーフォワードの株価は上場来最高値圏にある。時価総額は約2,500億円。競合他社のfreee(フリー)の時価総額は約5,300億円、ラクスは約4,300億円であることを考えると、マネーフォワードは割安感がある。マネーフォワードは2020年4月には新卒社員30名を採用(全社員数は930名)と企業規模に対して採用数は多い。これからの事業に自信があると思われる。

 いまのクラウドITサービス銘柄の株価はは高騰し過ぎているのか、成長を織り込んでいるのか、だれにもわからない状況だ。マネーフォワードの売上規模は約150億円、広告宣伝費ゼロの前提でも営業利益は10億円前後が精いっぱい。将来的に売上規模が300億円になったときには営業利益60~80億円はそれほどむずかしくない。純利益40~50億円×PER40倍をかけると、1,600~2,000億円くらいと試算できる。マネーフォワードの行っている事業はストック売上高(サブスクリプション型)であることも企業価値の評価が高い理由のひとつ。はたして、このまま無難に事業成長をつづけられるのか?

(画像6)マネーフォワードの株価推移

以 上

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