賃貸住宅向けの家賃保証サービスを提供しているCasa(カーサ)。新型コロナウイルスの影響により家賃滞納により業績が悪化していると思ったものの、滞納発生率は10.5%前後で推移しており大きな影響はでていないように見える。家賃滞納によりCasaが家主に立替払いしている家賃は39.1億円、前四半期の39.3億円より減少に転じている。Casaの業績と株価の行方はどうなるのか?
家賃保証サービスのCasa(カーサ)、コロナウイルス影響で貸倒引当金増加!(2021年3月13日投稿)
■基本情報(2021年6月11日時点)
- 株価:970円(10年来高値:1,660円)
- 時価総額:108億円
- 予想PER:19.6倍
- PBR:1.51倍
- 予想配当利回り:3.09%
- 自己資本比率:47.9%
- 会計基準:日本基準
■Casaの業績は?
Casaの2022年1月期の第一四半期の売上高は26.6億円(前年同期比+6.2%増)、営業利益1.3億円(前年同期は△76百万円の赤字)と増収と営業黒字転換となった。Casaの売上総利益率は+52.0%(前年同期は+47.2%)と5ポイント近くの改善となった。
Casaの売上原価は貸倒引当金繰入額、代理店への紹介手数料、訴訟・処分費用の3つで構成されている。売上原価12.8億円のうち、貸倒引当金繰入額が7.7億円、紹介手数料が2.4億円、訴訟・処分費用が2.6億円という金額になっている。Casaのビジネス上、家賃保証をしたものの、家賃を払わずにCasaが負担したままになるケースが10%ほど発生する。その貸倒比率をいかに低減していくかがビジネスのポイントとなっている。
■Casaの事業状況は?
Casaは賃貸したい人に対して保証人不要で家賃保証を提供するサービスをしている。20年前くらいであれば親族が家賃の連帯保証人になることが一般的だったものの、現在では家賃保証の68%は保証サービス会社がおこなっている。Casaは初回保証料と年間保証料(継続保証料)の2つを徴収するビジネスモデル。
居住用であれば、初回保証料は月額賃料の50%、年間保証料は年間1万円となっている。事業用は初回保証料は月額賃料の100%、年間保証料は月額賃料の10%となっている。Casaは万が一、賃貸人が家賃を支払わなかった場合、家主(大家)に対して立替払いを24カ月まで行うこととなっている。
Casaにとって、いかに家賃不払いを起こさない保証サービス加入者を増やすかが大きな課題となっている。Casaの売上高の成長率は1ケタまで落ちており、加入者の選定をきびしくすると売上高が落ちてしまうジレンマにある。
■Casaの求償債権の推移は?
Casaの求償債権残高の推移は39億円まで増えている。滞納発生率は10.5%前後で推移している。Casaの年間の売上高は約100億円。家賃を滞納していて求償している債権は売上高比で40%くらいまで高まっている。求償債権の増加にともない、貸倒引当金も27億円まで計上しており、約12億円くらいは回収できる試算となる。
Casaにとって保証するかどうか判断することがビジネスのキーで、「ダイレクトS」という個人信用情報を活用した判断をおこなっている。具体的には、反社情報、過去取引、属性情報(勤務先など)、クレジット・ローンの取引情報などを活用して、家賃未払いになる可能性が高い人を対象に保証するようにしている。
■Casaの株価の行方は?
Casaの時価総額は約100億円。家賃保証サービスも市場拡大というよりは市場シェアの奪い合いとなってきている。Casaにとって前年比での成長率が1ケタとなり、収益性が悪くなっていることが株価に大きくマイナスとなっている。
もともと、2021年1月期の業績予想は売上高104億円、営業利益16.3億円だったものの、実績は売上高102億円、営業利益は10.3億円と大幅な減益となった。金融緩和・財政出動でグロース銘柄中心に株高となっているものの、Casaにとっては家賃滞納者が減らない厳しい状況に変わりはない。言い換えると、経済環境が好転したときにはCasaの業績も改善するので、いまが投資どきかもしれない。
以 上