モバイルオンラインゲームやNintendo Switch向けのゲームソフト、テレビアニメなどの音楽映像事業などを展開しているマーベラス。もともとセガ(SEGA)のキャラクター部にいた中山晴喜氏(マーベラス創業者)が1997年6月に設立したマーベラスエンターテイメントがスタート(ちなみに、中山晴喜氏の父である中山隼雄氏はセガ・エンタープライゼスの元社長)。ここ最近の業績は横ばい感があるものの、収益性は高い。マーベラスの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年6月11日時点)
- 株価:790円(10年来高値:2,216円)
- 時価総額:492億円
- 予想PER:11.9倍
- PBR:1.78倍
- 予想配当利回り:4.17%
- 自己資本比率:79.9%
- 会計基準:日本基準
■マーベラスの業績は?
マーベラスの2021年3月期の売上高は255億円(前年比+0.6%増)、営業利益44.1億円(前年比+80.2%増)の増収増益となった。マーベラスの売上総利益率は+51.9%(前年は+43.7%)、営業利益率は+17.3%(前年は+9.7%)と大きく改善した。マーベラスの販管費は88.3億円と前年の86.4億円とほぼ横ばい。売上原価の比率が大きく改善しているものの、詳細は開示されていない。
■マーベラスの事業内容は?
マーベラスは3つのセグメントで事業をおこなっている。1つは、オンライン事業で2021年3月きの売上高は75億円、セグメント利益13.6億円、利益率は+18.1%。オンライン事業はスマートフォンゲームやブラウザゲームのセグメントで、「シノビマスター閃乱カグラNEW LINK」、「剣と魔法のログレスいにしえの女神」などが堅調に推移している。ブラウザゲームの「ブラウザ三国志」は11年目に突入したものの、コスト削減などで前期比プラスの損益となった。
コンシューマ事業はNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)などのゲームソフトを中心としたセグメント。2021年3月期の売上高は145億円、セグメント利益は41.6億円、営業利益率は+28.7%。マーベラス全体の業績を引っ張っている事業だ。2020年11月に発売した「天穂のサクナヒメ」は世界累計出荷本数95万本を突破。2021年2月発売の「牧場物語オリーブタウンと希望の大地」は世界累計出荷本数70万本突破している。
音楽映像事業の2021年3月期の売上高は35.5億円、セグメント利益は5.4億円、営業利益率は+15.2%。緊急事態宣言の影響で舞台公演などの販売が伸び悩み、2020年4Qは赤字になった模様。音楽映像事業はアニメーション作品の制作・プロデュース・音楽・映像コンテンツの制作・商品化をおこなっている。作品としては「ふたりはプリキュア」シリーズや「東京喰種トーキョーグール」シリーズなど有名な作品にかかわっている。コミックやアニメーションなどを原作とした舞台・ミュージカル作品の事業展開もおこなっている。
■マーベラスの収益構造は?もう少し利益でないか?
マーベラスの収益構造を見ると、売上総利益率は50%超と悪くないものの、販管費が年間90億円弱と大きい。2019年度の有価証券報告書を見たところ、販管費の主な内容として広告宣伝費は18億円、支払手数料が23億円、人件費11億円と記載されている。支払手数料の金額が大きい。
モバイルオンラインゲームの場合はAppleやGoogleなどのプラットフォーム(Apple storeやGoogle play)への支払いが主だと思われるが、Nintendo Switch向けゲームソフトも同様に任天堂向けのロイヤリティが発生する。Nintendo Switch向けゲームソフトのロイヤリティは、パッケージソフトの場合は販売価格の7%、ダウンロード版は30%と言われている。
■マーベラスの株価推移は?
マーベラスの時価総額は約500億円。予想配当利回りは4%を超えており、割安感のある株価となっている。マーベラスの株価躍進に必要なものは更なる成長だ。いまの収益性で前年比2ケタ成長できるのであれば、時価総額1,000億円を超えるハードルはそれほど高くない。クラウドサービスなどと異なり、ゲームメーカーは毎年のヒット作品を生み出すことが必要。スマートフォンゲームは競争がはげしく、開発費がかさむ傾向にある。
ゲーム銘柄にいまは資金が集中していないため、長期投資で考えた場合には、数年以内にゲーム銘柄への資金流入が起こりえるかもしれない。予想配当利回り4%は魅力的であるものの、利益に対する配当性向は高く、減配リスクにも留意が必要だ。
以 上