eラーニングの「スタディング」や法人向け教育事業の「AirCourse」を展開しているKIYOラーニング。中小企業診断士、司法書士、会計(税理士、簿記ほか)、ITパスポートなどの資格取得の教育サービスを提供している。現在は広告宣伝に力をいれて、集客を強化。売上高と広告費のバランスが今後の課題。
オンライン資格講座「スタディング」のKIYOラーニング、スマホで簡単に受講!(2022年9月11日投稿)
■基本情報(2023年7月7日時点)
- 株価:1,003円(10年来高値:5,870円)
- 時価総額:68億円
- 予想PER:85.2倍
- PBR:9.87倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:20.3%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,509人(2022年12月31日時点)
■KIYOラーニングの業績は?
KIYOラーニングの2023年12月期の第一四半期の売上高は8.0億円(前年同期比+36.1%増)、営業損益△2.7億円(前年同期は△4.7億円)の増収赤字幅縮小となった。KIYOラーニングの売上総利益率は+83.9%(前年は+83.3%)と高い水準をキープしている。
KIYOラーニングの売上総利益は前年の4.9億円→6.7億円と+1.8億円の増加、販管費は9.6億円→9.5億円と△0.1億円の減少となり、営業利益は差し引きで+1.9億円の改善になったものの依然赤字のまま。
■KIYOラーニングの販管費内訳は?
KIYOラーニングの販管費9.5億円の内訳を見ると、7.1億円は広告宣伝費に費やしている。年間で約25~28億円くらいは広告宣伝費に費やすことになり、将来的にはこの広告宣伝費が適正化されたときに大きな利益が発生する見込みだ。
人件費も64百万円→111百万円に増加しているものの、広告宣伝費の規模感が大きいため、それほどインパクトは感じない。
■KIYOラーニングのKPIは?
新規有料会員数は1.8万人→2.4万人と前年同期比+36%の増加。現金ベース売上高も8.1億円→10.6億円と堅調に増加している。2023年12月期の第一四半期の現金ベース売上高は過去最高の10.6億円となっている。
この現金ベース売上高は右肩あがりで上昇しているのは間違いないものの、デコボコな推移になっているため、投資家としては四半期の決算発表で一喜一憂する展開が続きそうだ。
KIYOラーニングの2023年12月期の業績予想は、売上高37.1億円(前年比+30.2%増)、売上総利益31.4億円(前年比+29.4%増)、営業利益1.0億円(前年は△1.8億円の赤字)。広告宣伝費を抑制しないと販管費が膨らんでしまうことは見えているので、そこが勝負になりそうだ。
■KIYOラーニングの財務状況は?
KIYOラーニングの2023年3月31日時点の財務諸表をみると、現預金は27.1億円、そのほかに大きな資産はない。負債をみると、有利子負債が4.5億円、前受金が19.4億円あり、顧客からの先払い受講料が大半を占めている。表面的には自己資本比率が低いものの、前受金の影響を除くと健全な財務状況であることがわかる。
■KIYOラーニングの株価推移は?
KIYOラーニングの時価総額は約70億円。株価チャートをみても、ようやく右肩あがりで上昇してきそうな感じだ。しかしながら、売上規模がまだ30億円台であり、50億円、80億円と成長するストーリーが見えるかどうかが課題。現在の成長率30%は規模が小さいために実現可能であり、今後は20%台へと下がっていく可能性は高い。
資格講座は、TACや大原簿記などの従来からの老舗企業もあり、競争の激化が予想される。また、資格講座は基本的に毎年コンテンツを作成する必要があり、一定のコストがかかる。KIYOラーニングの業績と株価の見通しは悩ましい。
以 上