東海地方を中心に戸建の注文住宅と分譲住宅を展開しているアールプランナー。サラリーマン個人投資家の弐億貯男氏が投資していることでも注目を集めている銘柄だ。2022年9月8日に発表した決算では、前四半期の営業赤字から黒字に転換したものの、業績予想の下方修正を発表。結果、翌日の株価は10%近い下げとなった。今後のアールプランナーの業績と株価の行方は?
分譲戸建て販売のアールプランナー!資材価格上昇のマイナス影響(2022年6月18日投稿)
■基本情報(2022年9月9日時点)
- 株価:1,049円(10年来高値:2,837.5円)
- 時価総額:56億円
- 予想PER:9.2倍
- PBR:1.35倍
- 予想配当利回り:1.42%
- 自己資本比率:16.9%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,190人(2022年1月31日時点)
■アールプランナーの業績は?
アールプランナーの2023年1月期の第二四半期の売上高は157億円(前年同期比+20.5%増)、営業利益4.0億円(前年同期は+7.1億円の黒字)と増収減益となった。アールプランナーの売上総利益率は+15.4%(前年同期は+18.7%)と約3.3%の悪化。営業利益率は+2.5%(前年同期は+5.4%)と悪化している。
アールプランナーの売上総利益は24.2億円と前年同期の24.4億円と変わらないものの、販売管理費が20.3億円と前年同期の17.3億円から約3億円の増加となった。売上高は大きく増えているものの、原材料高や円安による外注委託費の大幅な上昇が販売会社のアールプランナーの収支に直撃している構造だ。
■アールプランナーの事業状況は?
アールプランナーは東海エリアに強い不動産会社。販売棟数や売上高でみると、東海エリアは売上高132億円、販売棟数353棟に対して、首都圏エリアは売上高25.4億円、販売棟数51棟と小さい。言い換えると、これからは東海エリアにかぎらず、全国展開すれば事業規模が拡大すると期待されている。
アールプランナーは分譲住宅(完成済みの戸建の販売)が全体売上高の63.5%を占めており、在庫を抱える構造となっている。いまは原価が上昇しているものの、販売価格を値上げすると他社に負けてしまうため、それほど値上げができない状況となっている。
■マーケティング戦略は?
アールプランナーは俳優の山崎育三郎氏をアンバサダーに就任してもらい、テレビCMなどを展開。おそらく、この費用などのマーケティング費用が販売管理費増の要因のひとつと思われる。将来的には同社のイメージアップにつながると思われるものの、目先では業績悪化の要因となっている。
また、首都圏エリア・東海エリアともにショールームや展示場をオープンしており、販売管理費増加の要因になっていると思われる。
プラスの戦略としては、工事現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)のサービスを展開しているアンドパッド(ANDPAD)と提携して、施工管理や原価管理のサービスを研究している点。アンドパッドは上場しているスパイダープラスよりも規模が大きく、未上場ながら業界ではインパクトのあるIT企業だ。
施工管理SaaS「SPIDER PLUS」のスパイダープラス、建設業界のDXツール!(2022年7月3日投稿)
■アールプランナーの財務状況は?
アールプランナーの2022年7月31日時点の財務諸表をみると、現預金は32億円あるものの、販売用不動産関係で約190億円の在庫を保有。いっぽう、有利子負債は約150億円、前受金16億円。借金をして不動産を仕入れて、販売するサイクルは変わっていない。
もっとも心配されるのは、住宅ローン金利の上昇などによる不動産市況の悪化だ。アールプランナーは分譲住宅の比率が高く、戸建の販売市況が悪化すると、たとえ赤字でも販売せざる得なくなる。アールプランナーの純資産は41億円で、かなりレバレッジをかけて事業しているのが実情だ。不動産銘柄の株価が業績にくらべて低いのは、株価指標的には予想PERが1ケタになっている理由は、レバレッジをかけて事業しているリスクを織り込んでいるからだ。
■アールプランナーの株価は?
アールプランナーの時価総額は約60億円。前回の赤字決算から反発していたものの、今回の業績下方修正の報告により、もう一度、下落となった。アールプランナーは古い不動産販売会社とは異なり、Instagram(インスタグラム)の活用やDX推進など新しい手法を取り入れていることは評価できる。
アールプランナーに期待したいところであるものの、不動産市況の流れに巻き込まれる可能性が高く、すでに10年近くマンションや戸建ての販売市場は好調で、ここからより上昇するかと言われると誰にもわからない状況だ。間違いないことは、住宅ローン金利が上昇すると不動産価格は下落すること。これから更に住宅ローン金利が下がる余地はほぼないため、ありえるのは金利上昇だ。
以 上