オンライン名刺サービスの「Sansan」やクラウド請求書受領サービス「Bill One」などのクラウドサービスを展開しているSansan(サンサン)。積極的なテレビCMなどによる広告宣伝費の増加で営業利益は前年比マイナスとなったものの、着実に売上総利益が増加している期待のクラウドサービス企業。時価総額は3,000億円を突破し、上場来高値を狙う株価水準となっている。
成長鈍化!?名刺管理サービスのSansan(サンサン)の業績の行方は?(2021年4月17日投稿)
■基本情報(2021年8月27日時点)
- 株価:10,290円(10年来高値:10,300円)
- 時価総額:3,209億円
- 予想PER:1,605倍
- PBR:25.6倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:51.5%
- 会計基準:日本基準
■Sansanの業績は?
Sansanの2021年5月期の売上高は162億円(前年比+21.1%増)、営業利益7.4億円(前年比△2.7%減)の増収減益となった。Sansanの売上総利益率は+87.7%(前年は+86.4%)、営業利益率は+4.6%(前年は+5.7%)と売上総利益率は非常に高いものの、広告宣伝費や人件費などの増により営業利益率は低下している。
Sansanの販管費は135億円で、前年は108億円だったため、約25億円の増加となった。決算説明資料に詳細が記載されていないものの、サービス拡販のための営業人材投入(人件費)とテレビCMなどの広告宣伝費が大幅に増加したことが大きな要因だ。もう一つは販売代理店などの手数料などが増加したと思われる。
2021年5月期の第四四半期だけをみると、売上高は44.3億円、営業利益は△86百万円と営業赤字となっている。2022年5月期の目標を高くしないために、積極的に広告宣伝費などを投入して営業赤字に持って行ったと思われる。
■Sansanのビジネスモデルは?
Sansanのビジネスモデルは「Sansan」というオンライン名刺管理サービスの提供が主力製品だ。このクラウド型サービス(SaaS型)はサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、毎月、新規売上高が既存売上高に加算されていくもの。同じようなビジネスモデルとしては、ラクス、freee(フリー)、マネーフォワード、サイボウズなどのクラウドサービスが該当する。ITサービス以外では、生命保険なども該当する。
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クラウド型のITサービスは一旦、契約するとなかなか他社製品に乗り換えしにくいもの。ラクス、freee、マネーフォワードなどのクラウドサービス企業の企業価値が高く評価されている要因もそこにある。オンライン名刺サービス「Sansan」の直近12カ月平均解約率は0.63%と非常に低く、100社の顧客の内、12カ月で解約するのは1社未満という継続率になっている。
「Sansan」の契約件数は7,744件で1契約あたりの平均月次売上高は17万円となっている。この「Sansan」だけで月間売上高は13.2億円ほどになり、毎月、新規顧客の売上高が加算されていく計算となる。
■Sansanの株価推移は?
Sansanの時価総額は約3,200億円。予想PERは1,000倍を超えており、株価指標だけをみると割高だ。しかしながら、同じクラウドサービスのラクスの時価総額は6,000億円を超えており、freee(フリー)の時価総額は4,400億円を超えている。事業規模はそれほど変わらないため、クラウドサービス企業としては比較すると割安感はある。
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Sansanの株価は上場来高値圏であり、ここから短期的に上値を突破すると思われる。中長期的には相場次第というところか。グロース銘柄は上昇トレンドでは大きく上昇していくものの、下落トレンドでは半値以下になる可能性がある。
以 上