15分単位のスペース貸し借り、スペースマーケット、アフターコロナの反発は?

 「あらゆるスペースを15分単位で貸し借りできる」シェアリングエコノミープラットフォームを運営しているスペースマーケット。従業員数は72名。上場当初はかなり期待されたサービスだったものの、コロナの直撃などマイナス要因も多く、いまだ苦戦がつづいている。利益のでる事業規模まで、いかに成長させるかが大きなポイントになりそうだ。

シェアリングスペースのスペースマーケット!15分単位で貸し借りできるスペース事業(2021年1月24日投稿)

■基本情報(2022年9月16日時点)

  • 株価:405円(10年来高値:1,990円)
  • 時価総額:48億円
  • 予想PER:赤字
  • PBR:6.8倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:54.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:2,556人(2021年12月31日時点)

■スペースマーケットの業績は?

 スペースマーケットの2022年12月期の第二四半期の売上高は5.7億円(前年同期比+13.5%増)、営業損益△84百万円(前年同期は+28百万円の黒字)と増収であるものの赤字転落となった。スペースマーケットの総取扱高は16.8億円と前年の14.6億円から+15.0%増となったものの、売上総利益3.9億円に対して、販管費4.8億円とオーバーしており、その差額が赤字となった。

 スペースマーケットの売上総利益率は、総取扱高から算出すると+23.3%(前年同期は+24.4%)と若干悪化。仲介手数料的なテイクレートは30.8%となっている。

■スペースマーケットの事業状況は?

 スペースマーケットはスペースの貸し借りを仲介するサービスを展開している。いわゆる、最近はやりのシェアリングエコノミーの1つ。カーシェアリングのパーク24の「タイムズカー」のスペース版という位置づけ。カーシェアリングと異なり、固定資産を自社で保有するわけではないので、完全なプラットフォーム事業を展開している。

 事業規模が一定まで大きくなると、「メルカリ」「ラクマ」などのように自然と利益がでる仕組みになることが予想される。ただ、現状の総取扱高は年間約30億円規模で、テイクレート30%で計算すると売上高は約10億円の規模感だ。

 コロナ禍でリアルで対面する機会が減少している点だけでなく、そもそもリージャスやコワーキングスペースなどの貸会議室・レンタルスペース・カフェ(喫茶店)などの既存スペースが存在感があり、スペースマーケットが必要とされるニーズを生み出されていない状況がある。現在掲載されているスペース数は2.1万スペースで、実際の月間利用スペース数は3.6万スペース。回転率は非常に悪い。

■スペースマーケットの利用方法は?

 スペースマーケットは「スペースの貸し借り」のプラットフォーム。飲み会場所、レンタルキッチン、撮影・会議・動画配信などのスペース、レンタルサロンなど。宿泊スペースを借りることもできる。

 ただ、現状は全国どこでもというよりも、東京、横浜、大阪、名古屋などの都心部がスペースの中心だ。個人が自由がに使用するという場面よりも、ビジネス上の必要に応じてスペースを借りるケースが多いのではないだろうか。宿泊施設であればホテル予約サイトと競合する。

■スペースマーケットの財務状況は?

 スペースマーケットは上場時に公募増資2.8億円を実施しており、それほど資金調達を行ったわけではない。2022年6月30日時点の現預金は4.4億円、未収入金4.6億円で固定資産はそれほど持っていない。有利子負債は約0.5億円と多くない。

 スペースマーケットは資産を持って貸し出す事業モデルではないため、赤字になりにくい傾向がある。IPO(上場時)の時価総額の146億円からは約3分の1くらいまで株価は下落しているものの、ここから株価が大きく下がる状況ではないように思う。

■スペースマーケットの株価推移は?

 スペースマーケットの時価総額は約50億円。この1週間で20%くらい上昇した。出来高も急増して、安いと思った大口個人投資家か機関が買い集めはじめた予感はする。ただ、業績が伴わないと思惑だけの株価の上下になる可能性があるので、短期的には注意が必要だ。

 長期的には、どこかで利益のでる規模感になると思われるので、ここから半値くらいまで下がる可能性は低いのではないだろうか?

(画像1)スペースマーケットの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする