「エアトリ経済圏」のエアトリ、人材・旅行、DX、ITオフショアなど多角化!

 オンラインによる旅行事業(Online Travel Agent、OTA)や訪日旅行事業(WiFi事業)、IT関連事業、投資事業などを多角的におこなっているエアトリ(旧エボラブルアジア)。しかしながら、利益を稼ぐのはオンライン旅行事業だ。オンライン旅行事業も国内旅行領域が牽引。コロナ禍で販管費の見直しを実施し、固定費比率を大きく下げたため利益がでやすい体質になった。

多角経営でエアトリ経済圏を拡大するエアトリ、投資事業は絶好調!(2022年10月2日投稿)

■基本情報(2024年11月15日時点)

  • 株価:1,004円(10年来高値:4,595円)
  • 時価総額:225億円
  • 予想PER:11.2倍
  • PBR:1.6倍
  • 予想配当利回り:未定
  • 自己資本比率:47.7%
  • 会計基準:IFRS基準
  • 株主数:16,100人(2023年9月30日時点)
  • 事業価値:170億円

■エアトリの業績は?

 エアトリの2024年9月期の売上高は266億円(前年比+13.9%増)、営業利益24.0億円(前年比+18.9%増)の増収増益。エアトリの売上総利益率は+59.5%(前年は+57.8%)、営業利益率+9.0%(前年は+8.6%)となっている。コロナ禍で旅行事業が苦戦したものの、ようやく2019年の売上規模に近づいてきている。

 エアトリの売上総利益は前年の135億円→159億円と+24億円の増加、販管費は前年の104億円→120億円と+16億円の増加となり、差し引きで営業利益は8億円の増益となった。エアトリの本社の従業員数は119名、平均年齢36名、平均年収は467万円と低い。大手旅行会社のHISは従業員数3,984名、平均年齢37.8歳、平均年収443万円と旅行会社全体が低賃金であることがわかる。

■エアトリの事業状況は?

 エアトリはオンライン旅行事業、ITオフショア開発、投資事業と大きく3つのセグメントで開示を行っている。売上高の92%はオンライン旅行事業であり、利益のほとんどもオンライン旅行事業である。

 2024年9月期を振り返ると、売上高はほぼ期初予想どおりであるが、営業利益は結果的に大きく上振れている。OTAというオンライン旅行事業のビジネスモデルとしては、エアトリの実力値として営業利益率+10%くらいが目安ではないだろうか。

 エアトリの粗利率推移をみると、2023年9月からの四半期推移でみて、粗利はほぼ横ばい。国内旅行領域が全体の8割くらいを占める。国内旅行の需要は堅調であり、海外旅行が伸びれば、コロナ前の水準に到達するだろう。しかしながら、海外旅行のオプショナルツアーを展開するベルトラなどの業績をみると、海外旅行は厳しい状況がつづいている。為替レートが1ドル=150円を超えており、なかなか積極的に海外旅行にいけない状況だ。

■エアトリの投資事業は?

 エアトリはオンライン旅行事業のほかには、投資事業が有名だ。投資先のIPO実績は19社。ロボットペイメント、プライム・ストラテジー、メンタルヘルステクノロジーズ、Cocolive、バリュークリエーションなど東証グロースへの上場が多い。

 累計の営業投資先は135社、総投資額は約53億円となっている。オンライン旅行事業で稼いだお金を投資している形だ。

■エアトリの財務状況は?

 エアトリの2024年9月30日時点の財務諸表をみると、現預金は96億円、金融資産は83億円、のれん関係は27億円となっている。負債をみると、有利子負債は33億円など。財務的には健全だ。

 エアトリのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+22億円、投資CFは投資有価証券の取得で27億円を支払っており△36億円、財務CFは借入金の返済などで△14億円となり、差し引きで△27億円の現預金減で96億円の手元資金となっている。

■エアトリの株価推移は?

 エアトリの時価総額は約220億円。同じオンライン旅行事業のOTAを展開している「skyticket」のアドベンチャーは時価総額約300億円(売上高250億円、営業利益25億円)。エアトリだけでなく、コロナ前から株価が急騰したオンライン旅行事業の上場会社の株価は低迷している。

Online Trave Agent(OTA)のアドベンチャー、コロナ禍でも赤字回避と高収益!(2022年10月2日投稿)

以 上

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