訪日観光客向けの手配などのHANATOURや友愛観光バス、ホテル運営などを行っているHANATOUR JAPAN(以下、ハナツアー)。コロナ時に厳しい業績になったものの、アフターコロナでは堅調な業績となり、高い収益性を示している。まだコロナ前の水準に戻っていないものの、高い生産性で収益性は高い旅行会社。今後の業績と株価の行方は?
■基本情報(2024年11月22日時点)
- 株価:1,335円(10年来高値:4,910円)
- 時価総額:169億円
- 予想PER:11.9倍
- PBR:5.88倍
- 予想配当利回り:2.24%
- 自己資本比率:28.4%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:5,586人(2023年12月31日時点)
- 事業価値:156億円
■ハナツアーの業績は?
ハナツアーの2024年12月期の第三四半期の売上高は48.1億円(前年比+33.4%増)、営業利益11.5億円(前年比+157.8%増)の増収増益。ハナツアーの売上総利益率は+77.2%(前年は+73.1%)、営業利益率は+23.9%(前年は+12.4%)と大きく改善している。
ハナツアーの売上総利益は前年の26.4億円→37.2億円と+10.8億円の増加、販管費は前年の21.9億円→25.6億円と+3.7億円の増加となり、差し引きで営業利益は7.1億円の改善となった。
■ハナツアーの事業内容は?
ハナツアーとは、何をしている旅行会社なのだろうか?ハナツアーの役員をみると、ほぼ韓国人が占めており、韓国系の会社であることがわかる。従業員数は2024年4月時点で68名。事業としては、韓国、中国、東南アジア、欧米などからの訪日観光客向けにホテル、レストラン、バスなどを手配している旅行会社。団体のパッケージツアーなども実施している。
訪日ビジネスのひとつとして、貸切観光バスの提供する友愛観光バスを運営している。また、ホテル事業も展開しており、「Tマークシティホテル札幌」、「Tマークシティホテル東京大森」「Tマークシティホテル札幌大通」「Tマークシティホテル金沢 」の4つのホテルを運営している。
基本的には、コロナなどの人の往来の停止が起こらない限りは、利益がしっかりでる事業モデルになっている。
■高い収益性!
ハナツアーの特徴は収益性だ。旅行会社というと、オンライン旅行事業者以外は、それほど利益がでない印象がある。ハナツアーは営業利益率+20%を超える利益を出している。以前は旅行事業が稼ぎ頭だったものの、いまはホテル事業の利益貢献が大きい。
また、以前は免税店事業を展開していたものの、現在は事業廃止しており、ホテル事業に力をいれている印象だ。運営ホテル数も以前の2棟から4棟に増やし、事業規模が大きくなっている。
■ハナツアーの財務諸表は?
ハナツアーの2024年9月末の財務諸表をみると、現預金は24億円、リース資産(ホテルと思われる)が36億円、土地6.4億円、敷金・保証金が9.9億円となっている。負債をみると、有利子負債は12億円。自己資本比率が28%と低く見えるものの、リース資産・負債により表面的に総資産が大きく見えていることが理由のひとつ。
■ハナツアーの株価は?
ハナツアーの時価総額は約170億円。訪日観光客数は、正直、これから急激に増えることはなく、なだらかに増えるか、現状維持ではないだろうか。日本国内のホテルなどインフラが限界に来ているように見える。
いっぽうで、日本国内の労働人口は減っていくことは間違いなく、ホテル、バス、観光名所で働く人の数は増えることがなく、人件費は高くなっていくことは間違いない。ハナツアーのような旅行会社は事業規模が増えるチャンスであり、利益額は増えていくのではないだろうか。
いっぽうで、株価は成長性に限界を織り込み、ここから3倍、4倍と増えることは難しいようにも見える。
以 上