業績下方修正のマクアケ、0次流通市場の飽きが来たか?

 プロサッカー選手の本田圭佑選手の個人ファンド「KSK Angel Fund」が投資していることでも有名な0次流通市場のプラットフォームを構築しているマクアケ。サイバーエージェントが51.5%出資、「KSK Angel Fund」は22万株(約3.5億円)を投資している。斬新なガジェット製品(気の利いた小道具)を中心に広告をガンガン投入して注目を集めたマクアケ。今後の事業展開は?

0次流通市場を狙いマクアケ、想定下回る成長率と業績下方修正!(2021年8月1日投稿)

新商品デビュー市場(0次流通市場)のマクアケ(Makuake)、成長加速も株価は下落!(2021年4月24日投稿)

■基本情報(2022年7月1日時点)

  • 株価:1,646円(10年来高値:13,770円)
  • 時価総額:207億円
  • 予想PER:318倍
  • PBR:2.98倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:67.9%
  • 会計基準:日本基準

■マクアケの業績は?

 マクアケの2022年9月期の第二四半期の売上高は22.4億円(前年同期比+6.8%増)、営業損失△17百万円(前年同期は+63百万円)と増収赤字転落となった。マクアケの売上総利益率は+79.7%(前年同期は+82.8%)と約3ポイントの悪化。

 マクアケの売上総利益は17.9億円と大きいものの、販管費が18.1お億円あり、結果として営業損失となっている。マクアケの販管費の内訳をみると、広告宣伝費に約5.8億円投入しており、ここが大きな負担になっている。広告宣伝費を削減すると大きく総流通額は下がると思われるため、なかなか難しいところ。

■マクアケのビジネスは?

 マクアケは企業から新規商品などの案件を募集して、マクアケのサイトに掲載して応援購入として募集するもの。マクアケは成約金額の20%を手数料で回収するビジネスモデルとなっている。現在の掲載されている商品をみると、「二層ネッククーラーとクールマット」が15.9百万円の応援購入、「機能性ミニマルシューズ」が8.2百万円と注目を集める商品があるのの、10万円前後の応援購入に留まる商品も見られる。

 たしかに、Amazonや楽天などで販売すると埋もれてしまうものの、マクアケのスタッフがかなり魅力的に商品PRを作ってくるため、出品者側としては面白い仕掛けかもしれない。ただ、0次流通市場というよりも、レストランの分野などは単なる販促サイトになっているような気がしてならない。

■下がりだした応援購入総額(GMV)

 2021年9月期の第三四半期に応援購入総額(GMV)のピーク59.2億円をつけて、そこからゆっくりとGMVが下落し始めている。今回の決算時に業績予想として公表していたGMV300億円から220億円に△26.7%の下方修正を実施。結果として、営業利益はゼロの予想となった。

 マクアケは2021年2月に1株あたり8,091円で合計37億円の海外公募増資を実施しており、すでに5分の1くらいまで株価は下落している状況だ。その公募増資のおかげで、現預金は82億円(プロジェクト預り金は25億円)、有利子負債ゼロと財務状況はきわめて健全な状況だ。マクアケはあくまでプラットフォームのため、広告宣伝費をコントロールすれば赤字になりにくい事業モデルとなっている。

■今後のマクアケの株価は?

 マクアケの時価総額は約200億円。一時は1,000億円を超える規模だったものの、現実的な株価に戻ってきた。すでに成長性が大きく鈍化しており、グロース銘柄と呼ぶこともできない状況だ。販促サイトとしては面白いものの、マクアケの集客力が下落しつづけると出品者が減るリスクが大きい。実際に応援購入総額が前期比マイナスに転じており、ここに歯止めをかけないとビジネスモデルが崩壊する可能性がありえる。

 もう一つは、Amazon、yahoo、楽天などが0次流通市場をスタートする可能性を考える必要がある。0次流通市場から通常のマーケットにつなげるビジネスを展開されるとマクアケとしては競争が厳しくなる可能性がある。

 マクアケはさりげなく、東京、大阪、名古屋、広島、九州、韓国に支店があり、自社の営業活動も積極的におこなっている。従業員数は152名、平均年収は642万円(平均年齢31.7歳)とけっこう高い水準となっている。

(画像1)マクアケの下落し続ける株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする