所属YouTuberのマネジメントをしている大手YouTuber事務所のUUUM(ウーム)。年間売上高は240億円で成長は鈍化。粗利率がそれほど高くないビジネスモデルとなっており、今後の業績の急成長は期待薄か?UUUMの業績と株価の行方はどうなるのか?
ユーチューバー事務所のUUUM(ウーム)、営業利益目標は1年後ろ倒しに!(2021年7月18日投稿)
YouTuberを軸にしたプロモーション企業のUUUM(ウーム)、動画再生回数は低下!(2021年4月18日投稿)
■基本情報(2023年6月23日時点)
- 株価:719円(10年来高値:6,870円)
- 時価総額:143億円
- 予想PER:ー
- PBR:3.3倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:38.7%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:15,206人(2022年5月31日時点)
■UUUMの業績は?
UUUMの2023年5月期の第三四半期の売上高は171億円(前年同期比+1.2%増)、営業利益4.9億円(前年同期比△16.7%減)の増収減益。UUUMの売上総利益率は+31.5%(前年は+29.8%)、営業利益率は+2.9%(前年は+3.5%)と営業利益率2ケタは程遠い。
UUUMの売上総利益は前年の50.5億円→54.0億円と+3.5億円の増加、販管費は前年の44.6億円→49.0億円と+4.4億円の増加となり、差し引きで営業利益は△1.0億円の悪化となった。低成長、低収益のため、営業利益も年間5~7億円のため、もしかすると時価総額100億円割れも起こりそうだ。
■UUUMの事業状況は?
UUUMの売上総利益率(粗利)は収益基準の変更により、27%前後→31%前後に+4ポイントほど改善しているものの、あくまで表面上の見た目の話。実質的な利益力は変わらない。足元の3Qだけをみると、売上高が前年の84%にとどまっており、需要が大きく減っていることが分かる。なお、3Qの営業利益は赤字である。
過去の売上高の内訳推移をみると、Googleアドセンスの収入が減っている。その理由としては、国内外の広告出稿抑制と理由つけているものの、クリエイター数が伸びていない等、UUUM側の課題も少なくない。いっぽうで、販管費が過去からの推移でみると増加しており、特に人件費の伸びが続いている。
■UUUM所属のクリエイター数は減少!
クリエイター数は前年同期の205人→190人と△15名(△7%減)となっている。UUUMとしては、クリエイター数が減っても粗利が増えいているので、生産性が高くなっていると言っているものの、Googleアドセンスの入金のタイミングなどズレもあるのではないだろうか。今後の収益減を想定してしまう。なお、期末チャンネル数は1.4万チャンネルと非常に多いチャンネル数となっている。
■UUUMの財務状況は?
UUUMの2023年2月末の財務状況をみると、現預金は40.8億円、商品12.5億円。いっぽう、負債をみると、有利子負債は約40億円と大きな借入金が計上されている。UUUMは2017年8月30日に東証マザーズに上場し、その時に資金調達は約6.5億円くらいしか実施していない。
UUUMの2022年5月の有価証券報告書にこれまでのキャッシュフロー計算書の推移が記載されている。営業CF、投資CF、財務CFの過去からの推移をみると、かなり投資CFにお金を費やしていることがわかる。2022年度のキャッシュフロー計算書で確認すると、投資有価証券や無形固定資産への支出が多い。無形固定資産は5年または10年での償却としているものの、積極的に減損をしている。
■UUUMの株価推移は?
UUUMの時価総額は約140億円。右肩さがりの株価推移をみると、「そろそろ上昇するのでは?」という期待感から個人投資家で購入して含み損をかかえている人は少なくないだろう。その結果、2022年5月末時点で個人投資家は1.5万人まで増えている。ほとんどの人が含み損を抱えているだろう。
低成長と低収益のUUUMをみると、時価総額100億円割れも十分ありえるだろう。最近では他のSNS事務所(カバーほか)が上場しており、業績が低迷しているUUUMに投資する必要性が少なくなっているような気がする。時々、株価の反発は起こるだろうものの、当面は様子見が無難ではないだろうか。
以 上