業績予想悪化のモンスターラボホールディングス、納得度の低い修正理由?

 顧客のデジタル化の戦略策定、体制の構築などをコンサルティングするモンスターラボホールディングス(以下、モンスターラボ)。2023年3月28日に東証グロースに上場し、上場時の時価総額は352億円(現在は74億円)。上場時から株価は大きく下落している。モンスターラボの事業状況と今後の株価はどうなっていくのか?

■基本情報(2024年2月16日時点)

  • 株価:216円(10年来高値:1,145円)
  • 時価総額:74億円
  • 予想PER:ー(赤字予想)
  • PBR:1.99倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:25.7%
  • 会計基準:IFRS基準
  • 株主数:6,100人(2023年6月末時点)

■モンスターラボの業績は?

 モンスターラボの2023年12月の売上高は133億円(前年比△6.5%減)、営業利益は△20.6億円(前年は△3.9億円)の減収赤字幅の大幅拡大となった。モンスターラボの売上総利益率は+25.2%(前年は34.6%)と9.4%も粗利率が悪化している。

 モンスターラボの売上総利益は前年の49.4億円→33.6億円と△15.8億円の減少、販管費は前年の56.3億円→62.2億円と+5.9億円の増加となり、その他の収益などを考慮して、営業損益は△3.9億円→△20.6億円と△16.7億円の悪化となった。

■モンスターラボの事業内容は?

 モンスターラボは19の国・地域で事業を展開していて、社員数は約1,400人。APAと呼ばれるアジア地域が約1,094人と最も多い。モンスターラボは2006年2月に設立しており、デジタルコンサルティング事業やソフトウェア開発などが主な事業内容だ。島根県にも開発拠点があり、インド人の開発スタッフがいるということでニュースになっていた。

 モンスターラボは日本国内では一般的には知名度は低いものの、2015年にパソナテック等から約4億円の資金調達。2016年11月には、ごうぎんキャピタル、りそなキャピタルから約25億円の資金調達、2017年は山陽合同銀行等から約23億円の資金調達、2020年には日本郵政キャピタルから約42億円の資金調達、政府系ファンドのJIC VGIから約30億円の資金調達と資金調達を積極的に実施してきた。

■海外展開に積極的!

 海外展開は2015年にソフトウェア開発企業(ベトナム・ダナン)の会社をグループ化してから積極的に実施している。2015年に上海拠点、2017年にデンマーク、イギリスに拠点、2018年にドイツ、タイ、2019年にドバイ、フィリピンの拠点、2020年にコロンビアに拠点など。

 正直、日系企業がここまで急速に海外展開して、利益を確保できる仕組みを構築できるものだろうかと気になる。モンスターラボの有価証券報告書をみると、2020年~2022年の経営指標が記載されており、売上規模は大きく拡大しているものの、これまでも赤字がつづいている。しかも、営業CFがマイナスになっている。

■モンスターラボの財務状況は?

 モンスターラボの2023年12月末時点の財務諸表をみると、現預金は17.8億円、のれん39.6億円、無形資産6.5億円、その他金融資産30.8億円となっている。負債は、有利子負債が約62億円。純資産をみると、資本金・資本剰余金で約125億円あるものの、利益剰余金は△86億円と赤字が積み重なっている。のれんの減損などを実施すると、債務超過の可能性があり、注意が必要だ。

 モンスターラボは上場時に約15億円の資金を調達している。多額の資金調達をして、なんとか上場したものの、赤字体質が改善できておらず、非常にきびしい状況がつづいている。

■モンスターラボの株価推移は?

 モンスターラボの時価総額は約74億円。すでに売上高が前年割れしており、利益がでていない厳しい状況だ。ベンチャーキャピタルが筆頭株主になっていて、さらなる持ち株の売却も想定される。正直、時価総額は50億円になっても、30億円になっても違和感はない。

 モンスターラボの中途採用情報をみると、DX推進エンジニア(年収:700万円~910万円)、データアナリスト(年収:500万円~700万円)、Webマーケティング(年収:400万円~700万円)。若干、年収高めの日系企業という印象だ。

 現状は上場来最安値であり、当面は株価の低迷がつづくだろう。黒字になる気配が見えないと株を買えない状況だ。そもそも、売上総利益率がそれほど高くないので、個人的には期待が持てる企業ではない。

(画像1)モンスターラボの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする