YouTuberを軸にしたプロモーション企業のUUUM(ウーム)、動画再生回数は低下!

 YouTuber(ユーチューバー)を活用した企業のプロモーションを手掛けるUUUM(ウーム)。YouTube(ユーチューブ)の発展とともにチャンネル数と動画再生回数が増加し、プロモーション企業のUUUMの業績は拡大。しかしながら、2020年の緊急事態宣言中のステイホーム特需後は動画再生回数が落ち込み気味だ。UUUMにはHIKAKINやSEIKIN、水溜りボンドなどの有名YouTuberが所属している。今後のUUUMの業績と株価はどうなるのか?

■基本情報(2021年4月16日時点)

  • 株価:1,765円(10年来高値:6,870円)
  • 時価総額:348億円
  • 予想PER:71.1倍
  • PBR:9.44倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:38.6%
  • 会計基準:日本基準

■UUUMの業績は?

 UUUMの2021年5月期の第三四半期の売上高は175億円(前年同期比+4.1%増)、営業利益△4.7億円(前年同期比△54.5%減)の増収減益となった。UUUMの売上総利益率は+26.4%(前年同期は+28.2%)、営業利益率は+2.6%(前年同期は+6.1%)と悪化傾向がつづいている。これまでは新しい分野の成長企業という位置づけだったUUUMも成長が鈍化。UUUMは意外にも従業員560人を抱える、かなり大きいプロモーション企業というのが実態で、ここ数年で急成長したものの、意外に早く成長鈍化がおとずれてしまった。

 UUUMの印象からは最先端のハイテク企業というイメージを持つかもしれないが、広告代理店と芸能人事務所を合体させたようなプロモーション会社というのが実態ではないだろうか。

■UUUMのビジネスモデルは?

 UUUMはYouTubeからの広告料であるグーグルアドセンス(YouTube再生による広告収入)と企業とのタイアップ広告の2つが大きな収益となっている。UUUMに所属するクリエイター(YouTuber)が動画を作成し、UUUMは動画編集やタイアップ広告の仲介をするビジネスモデルとなっている。

 企業としても個人のYouTuberとタイアップ広告を締結するよりも、上場企業であるUUUMを仲介させたほうが安心感があるということもUUUMが活躍してきた要因のひとつ。これまでUUUMに所属するYouTuberの動画再生回数と期末チャンネル数は右肩あがりだったものの、動画再生回数の下落がはじまってしまった。それに伴い、UUUMの売上高も成長が鈍化してしまった。

■UUUM所属YouTuberのチャンネル登録者数は?

 UUUMに所属するYouTuberのうち、チャンネル登録者100万人以上のチャンネルは58チャンネル。UUUMに所属するYouTuberはHIKAKIN、はじめしゃちょー、SEIKIN、瀬戸弘司、フィッシャーズ、水溜りボンドなどが有名だ。チャンネル登録者数10万人を超えるYouTuberは増えているものの、動画再生回数が停滞している。これは視聴者のYouTube疲れや市場規模の飽和などが想定される。

■UUUMの売上高内訳は?

 UUUMの売上高はグーグルアドセンスが半分以上を占めている。残りは企業とのタイアップ広告とYouTuberグッズやイベントなどの収入だ。グーグルアドセンスは順調に伸びているように見えるものの、動画再生回数とグーグルアドセンスの収益に数か月のズレが発生していると思われるので、次期以降の売上高の伸びに注意が必要だ。

 UUUMは在庫を持たないビジネスのため、資金繰りはそれほど悪くないと思っていたところ、自己資本比率は40%を割っている。短期・長期の借入金を合計すると約30億円あり、あくまでもプロモーション企業のため、それほど利益率のよいビジネスモデルではない。社員も500名以上を抱えており、固定費が重い事業構造になっている。

■UUUMの株価の行方は?

 UUUMの時価総額は約350億円。一時は1,000億円を超えていたものの、実態にあった株価に調整された印象だ。UUUMの成長性と収益性を考えると、いまの株価でも過大に評価されているのではないだろうか。資金繰りなどを考えると、当面は配当もむずかしい。

 UUUMの株価チャートをみると、いっきに数分の一まで株価は下落しており、含み損をかかえた個人投資家が数多くいると思われる。業績の改善が見えるまでは株価上昇に転じるのはむずかしそうだ。

(画像5)UUUMの株価推移

以 上

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