フリーランス人材マッチングのギークス、ゲーム開発やITスクール運営も!

 「geechs job(ギークスジョブ)」というITフリーランス向けの案件情報サイトを展開しているギークス。2007年8月設立、従業員数は409名。フリーランスマッチング事業は堅調であるものの、正社員を抱えて対応しているゲーム事業が苦戦。運営スタート予定のタイトルがリスケジュールにより収支が合っていない。ITスクールのSeed Techは売上高が伸びない。ギークスの業績と株価の行方は?

■基本情報(2022年10月7日時点)

  • 株価:808円(10年来高値:2,715円)
  • 時価総額:85億円
  • 予想PER:17.7倍
  • PBR:2.0倍
  • 予想配当利回り:1.23%
  • 自己資本比率:72.8%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:2,100人(2022年3月31日時点)

■ギークスの業績は?

 ギークスの2023年3月期の第一四半期の売上高は10.3億円(前年同期比△4.8%減)、営業損益△1.2億円(前年同期は+51百万円の黒字)と減収赤字転落となった。ギークスの売上総利益率は+40.7%(前年は+44.2%)。売上総利益が4.2億円に対して、販管費が5.4億円だったため、差額が営業赤字となった。

 ただ、ギークスは四半期ごとに業績に波があるため、去年はうまく挽回している。ギークスの課題の1つとしては業績が安定していないことがあがるだろう。

■ギークスの事業内容は?

 ギークスは大きく4つの事業を行っているが、注目すべきは①IT人材事業、②ゲーム事業、の2つ。IT人材事業はIT関連フリーランス向けの案件マッチングサイト「geechs job(ギークスジョブ)」を運営している。フリーランスエンジニアという選択肢というか業務を提供している。案件としては50万円~150万円/月くらいの案件が多い。契約としては業務委託契約だ。「geechs job」の競合他社としては「レバテックフリーランス」「Midworks」などがある。

 なお、「geechs job」は手数料を公開していないものの、一般的に10%~25%程度と言われています。ブランディングエンジニアが運営している「Midworks」は手数料10~15%と言われている。

 ギークスのもう一つの主力事業はゲーム事業だ。2022年3月期はゲーム事業だけで売上高31.5億円(前年比+95.1%増)、利益5.8億円(前年比+116.2%増)を計上している。前期の決算説明資料をみると、「新規3本の納品もあり・・・・・」と記載されており、ゲーム事業は固定収入部分とフロー部分(出来高払い部分)の2つに分かれており、納品により売上高が計上される仕組みと思われる。現在の運営しているタイトルは6本、開発中タイトルは4本となっている。ゲームタイトルの運営モデルとしては、マイネットが似ている。

ゲームタイトルを買収して運営で稼ぐマイネット(3928)、リカバリープランで業績回復!(2020年12月19日投稿)

■期待されるフリーランスエンジニア!

 AIやDXなど推進していくなかで企業としてはフリーランスエンジニアが活躍する場面が増えてきそうだ。しかしながら、大手企業ではまだ外部のフリーランスエンジニアを活用するというケースがそれほど多くない。言い換えると、市場がこれから伸びるチャンスはあると言える。ギークスの2023年3月期の第一四半期のフリーランスマッチングの取扱高は30億円、売上高は5.2億円、よって手数料率は平均17.3%となる。

 クラウドソーシングにくらべて、月額ベースで顧客と契約し、フリーランスエンジニアが活躍すれば、ずっと手数料が入ってくる仕組み。クラウドソーシングよりも利益的には安定している。すでに安定的に利益がでる利益モデルになっていることも強みだ。2023年3月期の第一四半期の稼働人月数(のべ人数)は3,990人となっており、3か月で換算すると平均月1,330人が稼働している計算になる。また、安定的に増えているのも大きい。しかも受注単価は平均76.9万円(前年同期は76.3万円)と若干であるがプラスとなっている。

■ギークスの財務状況は?

 ギークスの2022年6月30日時点の現預金は33.2億円、売掛金は19.3億円。買掛金は10.5億円あるものの、有利子負債はゼロと財務状況は健全だ。ギークスは2019年3月に東証マザーズに上場し、上場時に公募増資等で約12.5億円を調達している。なお、社長の曽根原氏はECサイト運営のクルーズを共同設立している。

■ギークスの株価推移は?

 ギークスの時価総額は約85億円。現在は上場来最安値付近まで株価は下落している。もし、第二四半期も新規タイトルの納入がずれ込むと、赤字を計上する可能性がある。その場合は、株価はさらに下落する可能性があるので、心の準備が必要だ。

 しかしながら、ギークスはフリーランスエンジニアのマッチングサイトで安定的に稼ぐ基盤を作っており、事業の基盤は堅調だ。ゲーム事業の課題は損益のブレ。しかしながら、受託本数が増えれば、次第に四半期のブレも解消されると期待したい。

(画像1)ギークスの株価推移

以 上

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