戸建分譲を中心に事業している三栄建築設計。2023年8月期の業績予想は売上高1,500億円(前年比+7.9%)、営業利益111億円(前年比△13.4%)と利益は前年であるものの、それでも成長はつづいている。この収益力で時価総額はたった310億円と評価は低い。三栄建築設計の業績と株価の行方は?
■基本情報(2023年1月13日時点)
- 株価:1,482円(10年来高値:2,704円)
- 時価総額:314億円
- 予想PER:4.6倍
- PBR:0.54倍
- 予想配当利回り:5.1%
- 自己資本比率:35.5%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:5,996人(2022年8月31日時点)
■三栄建築設計の業績は?
三栄建築設計の2023年8月期の第一四半期の売上高は262億円(前年同月比+21.2%増)、営業利益22.5億円(前年同期比+50.4%増)の増収増益。三栄建築設計の売上総利益率は+17.9%(前年は+17.0%)、営業利益+8.6%(前年は+6.9%)と改善傾向となった。
三栄建築設計の売上総利益は46.9億円(前年は36.8億円)に対して、販管費は+24.4億円(前年は+21.8億円)のため、差額が営業利益となっている。売上総利益が+10億円くらい増えているものの、販管費の増加を+3億円弱に抑えたことで営業利益が高まっている。
■三栄建築設計の事業内容は?
三栄建築設計は不動産分譲事業がメインの会社。三栄建築設計は「メルディア」というブランドで販売店を展開している。また、米国デラウェア州に子会社を設立し、米国における不動産の開発・投資を進めている。
三栄建築設計はプロサッカーチームである湘南ベルマーレのオフィシャルプレミアムパートナー(スポンサー)をつとめている。
■三栄建築設計の販管費は?
三栄建築設計の販管費は24.4億円。前年同期は21.8億円だったため、+12.1%の増加となった。増えた項目をみると、人件費(+15.8%増)、仲介手数料(+39.4%増)などが増えている。ただ、それほど広告宣伝などを行っておらず、堅実な営業活動で顧客を獲得していることがわかる。
■三栄建築設計の財務状況は?
三栄建築設計の自己資本比率は35.5%。2022年11月末の財務状況をみると、現預金は149億円、販売用不動産は約1,130億円。いっぽう、有利子負債は約740億円。心配されるのは金利の上昇だろう。ここまで在庫を抱えていると、販売に陰りが見えると、いっきに安売り合戦になる可能性がある。また、借入金の支払利息の上昇も気になる。
■三栄建築設計の株価推移は?
三栄建築設計の時価総額は約314億円。業績面からみると割安だ。ただ、不動産販売の企業は、ほかの事業領域の企業とくらべて株価が割安で推移することが多い。予想配当利回りなどは魅力的であるものの、市場が悪化すると、一気に業績が悪化する過去の実例があるからだ。
この10年くらいは競合他社(アールプランナーなど)含めて、不動産販売における好景気の影響を受けていた。低金利にともなう住宅価格の上昇だ。これにともない、利益を思い切り計上することができた。ここからは逆風になる可能性が高く、業績悪化にともなう株価の下落が起こる可能性があることに注意が必要だ。
東海中心のアールプランナー、材料費高騰と円安で業績は悪化!(2022年9月10日投稿)
以 上