「オキシクリーン」国内独占販売権を持つグラフィコ、下落する株価の行方は?

 サプリメントの「なかったコトに!」や「満腹30倍」、薬用石けんシリーズ「フットメジ」や「優月美人」など健康食品、化粧品、医薬品、酸素系漂白剤の「オキシクリーン」などの企画・製造・販売をおこなっているグラフィコ。2020年9月に上場し、従業員数は51名という規模。上場後、1株10,500円の上場来高値をつけた後、現在では4,300円前後まで株価は下落。グラフィコの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年3月5日時点)

  • 株価:4,375円(10年来高値:10,500円)
  • 時価総額:40億円
  • 予想PER:22.2倍
  • PBR:2.13倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:78.7%
  • 会計基準:日本基準

■グラフィコの業績は?

 グラフィコの2021年6月期の第二四半期の売上高は22.2億円(前年同期比+21.1%増)、営業利益2.5億円(前年同期比△0.4%減)の増収減益となった。グラフィコの売上総利益率は+47.8%(前年同期は+52.7%)と45%~53%で推移している。営業利益が減益になったのは物流コスト(販管費)が+62百万円増加したことが影響している。

■グラフィコの事業内容は?

 グラフィコは健康食品、化粧品、医薬品、洗剤などの自社オリジナル製品の企画・製造・販売をおこなっている。もっとも売上高が大きいのは米国のチャーチ&ドワイト社が製造販売している酸素系漂白剤「オキシクリーン」の販売だ。グラフィコは2008年より日本国内の正規輸入販売元になっている。グラフィコの全体の76.2%は「オキシクリーン」を含む日用雑貨という分類だ。健康食品は10.1%、化粧品は9.1%という売上比率になっている。

■グラフィコの経営を支える「オキシクリーン」!

 「オキシクリーン」は衣類のシミ・汚れを漂白・消臭・除菌する酸素系漂白剤。衣類の汚れだけでなく、キッチン・風呂場・トイレなどの掃除でも使用できる万能洗浄剤だ。

■グラフィコの主力製品ラインナップ!

 グラフィコの従業員数は51名。この人数で健康食品、化粧品、日用雑貨などの製品を支えている。製造はOEM(外注)で行っており、グラフィコの製品の販売は国内のドラッグストア、ホームセンター、ECモールなど約28万店舗で展開されている。海外では中国、香港、マカオ、韓国、台湾など東アジア中心に12の国・地域で展開されている。北の達人コーポレーションやファーマフーズなどの直販型の通販会社と異なり、グラフィコの直販の比率は5%に満たない規模。

 北の達人コーポレーションやファーマフーズなどのように高い利益率を出すには直販(自社ECサイト)の比率を増やしていく必要がある。健康食品や化粧品などのオリジナル製品は、広告や宣伝などSNS、テレビCM、雑誌広告など効率的なPRが重要となる。

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■売上構成のブレが気になる!?

 グラフィコで気になるのは売上構成のブレだ。新型コロナウイルスの感染拡大により、「オキシクリーン」の需要が売上高を牽引したものの、健康食品や化粧品は前年比で売上減少している。グラフィコが成長軌道に乗るためには、柱となる商品群が必要だ。収益性の向上には自社通販サイトによる販売強化が必要になる。

 健康食品、化粧品のオリジナル製品は、通常であれば原価は低いものであるものの、流通網にドラッグストアやホームセンターなどの小売店を挟んでいるため、卸売価格がかなり低くなっていると思われる。ほかの通販会社と同じように、自社通販サイトを強化し、広告・宣伝への資金投入のサイクルを回していく必要がある。

 グラフィコのビジネスで、もっとも心配されるのは「オキシクリーン」の独占販売権の期限切れだ。グラフィコが米国の輸入元とどのような契約を締結しているか不明であるが、「オキシクリーン」を失った場合の影響は致命的になってしまう。

■グラフィコの株価推移と今後の行方は?

 グラフィコの時価総額は約40億円。いまのところ、株価は下落トレンドがつづいている。グラフィコのいまの株価は割高でも割安でもない。このまま業績の成長がみられない場合は、いまの株価でも「妥当」だろう。ここから売上規模の成長と収益性の改善が図れるのであれば、どこかで株価は上昇トレンドに転じるはずだ。

 グラフィコが上場しているのはジャスダック市場。上場する際、成長性の高いベンチャー企業であれば東証マザーズに上場している。ジャスダック市場は、「最近1年間の利益の額が1億円以上であること」という審査基準と「上場時に2億円以上の純資産」という基準があるが、個人投資家の投資熱を考えると東証マザーズのほうがジャスダック市場よりも魅力は高い。将来的な東証一部への市場変更や時価総額の上昇を考えると、東証マザーズへの上場のほうがプラスになる。

 グラフィコは1996年に設立された創立25年を超える歴史ある企業。25年間の1年ごとの積み上げで売上高は年間40億円前後まで増加した。しかしながら、時価総額の成長(株価上昇)を考えると、年率+10%を超える売上高の増加はほしいところ。グラフィコには新製品の大ヒットと販売チャネルの改革を期待したい。

(画像6)グラフィコの株価推移

以 上

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