再上場のバリオセキュア、リカーリング収益は好調!株価の行方は?

 中小企業のネットワークセキュリティをサポートするバリオセキュア。インターネットセキュリティサービスを提供して、売上高の約8割はサブスクリプション型(リカーリングビジネス)の月額課金となっている。バリオセキュアは2009年12月にファンドが買収してヘラクレス市場の上場を廃止し、今回は東証二部への再上場となった。2009年12月の上場廃止時の時価総額は約58億円。バリオセキュアの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年3月5日時点)

  • 株価:1,475円(10年来高値:2,244円)
  • 時価総額:55億円
  • 予想PER:11.2倍
  • PBR:1.45倍
  • 予想配当利回り:2.67%
  • 自己資本比率:54.6%
  • 会計基準:日本基準

■バリオセキュアの業績は?

 バリオセキュアの2021年2月期の第三四半期の売上高は19.1億円(前年同期比+1.5%増)、営業利益6億円(前年同期比△3.1%減)の増収減益となった。バリオセキュアの売上総利益率は+62.5%(前年同期は+63.2%)、営業利益率は+31.4%(前年同期は+32.9%)と高い。売上規模がほとんど伸びていない点が気になる。

■バリオセキュアのビジネスは?

 バリオセキュアのビジネス内容は、簡単にいうと中小企業向けのインターネットセキュリティに関するサービスを提供している。サブスクリプション型の月額課金モデルと売り切りモデルの2つがある。全体の83.9%はサブスクリプション型で安定的に収益を計上できる仕組みとなっている。

 中小企業では情報システム部門の人手が足りておらず、システムの脆弱性やデータバックアップ、サーバートラブルなど対応が不十分となっている。バリオセキュアはその部分を補完するサービスを提供している。バリオセキュアのサブスクリプション型モデルでは解約率は1%未満となっている。

■再上場のバリオセキュア

 バリオセキュアは2009年12月にファンドが買収して、ヘラクレス市場より上場廃止となっている。当時は世界的な金融危機もあり、上場したまま迅速的な経営をおこなうことができず、ファンドの経営ノウハウを活用することで、独立性を保ちながら経営できる、という理由で上場廃止を決定している。上場廃止時の時価総額は約58億円で、現在の時価総額とそれほど変わらない。

■バリオセキュアの株価の行方は?

 バリオセキュアで注意すべきはIFRS基準を採用している点だ。バリオセキュアのB/Sをみると、「のれん」が50億円計上されている。バリオセキュアは企業買収を繰り返して、高い「のれん」を負担させられてきたと思われる。バリオセキュアは収益力が高いため、徐々に借入金を返済して、現在では約19億円まで減少している。今回の再上場で株主であるファンドの換金売り(イグジット)となったと思われる。

 ファンド買収による再上場株は株価があがりにくい傾向がある。たとえば、ナルミヤ・インターナショナル、マクロミル、ワールド、雪国まいたけ等。再上場株のほとんどはIFRS基準を採用しており、再上場企業自体に多額の負債と「のれん」が計上されているケースが多い。経営環境が悪化したときには、「のれん」の減損で一気に赤字に陥るリスクがある。バリオセキュアは収益力が高く、安定的に稼げる力があるものの、成長鈍化となっており株価の上昇には当面は期待できない。

(画像4)バリオセキュアの株価推移

以 上

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