黒字転換した「ぐるなび」、ストック売上高も上昇傾向つづく!

 飲食店の送客サイト「ぐるなび」を運営している、ぐるなび。ネット予約件数はコロナ禍前を上回る水準まで上昇している。飲食店の財務状況の改善などで、送客サイト活用の機運が高まってくれば、ぐるなびの業績も回復するのではと期待してしまう。ぐるなびの顧客は飲食店であり、コロナにより財務状況が悪化して、その波及で予約サイトもきびしい状況がつづいている。

業績は回復!?ぐるなび、営業損失は前年比で大幅縮小、今後の行方は?(2023年11月3日投稿)

ぐるなび回復の兆しも!?Googleでの予約サービスも提供、今後の行方は?(2023年10月7日投稿)

■基本情報(2024年2月9日時点)

  • 株価:257円(10年来高値:3,165円)
  • 時価総額:146億円
  • 予想PER:ー(赤字予想)
  • PBR:3.02倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:57.5%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:20,831人(2023年3月31日時点)

■ぐるなびの業績は?

 ぐるなびの2024年3月期の第三四半期の売上高は88.9億円(前年比△0.8%減)、営業利益22百万円(前年は△20.5億円の赤字)と減収黒字転換となった。ぐるなびの売上総利益率は+63.7%(前年は58.8%)と改善している。

 ぐるなびの売上総利益は前年の52.6億円→56.6億円と+4.0億円の増加、販管費は前年の73.1億円→56.4億円と△16.7億円の減少となり、差し引きで営業う利益は+20.7億円の大幅な改善となった。

■事業規模の大転換!

 しかしながら、業績改善の大きな手法は販管費の削減であり、トップラインである売上高の大幅な改善がまだ見られない。前年のGo to eatの反動を考慮すると、+14%くらいの伸びがあると決算説明資料には記載あるので、このトレンドが継続することを期待したい。

 そもそも、コロナ前の2019年3月期は売上高330億円、2020年3月期は売上高310億円の規模があったものの、現在は売上高120億円くらいまで減少している。ようやく、固定費が300億円規模→120億円規模までトランスフォーメーションできた形だ。

 固定費は前年の73億円→56億円と△17億円の減少となっている。内訳をみると、人件費は45億円→35億円と△10億円の減少、賃借料は8億円→6.5億円と△1.5億円の減少、業務委託料は7億円→5億円と△2億円の減少となっている。

■ぐるなびの事業状況は?

 ぐるなびの決算説明資料をみると、1店舗あたりのネット予約件数は改善している。居酒屋を中心にコロナ禍前を上回るレベルまで上昇中だ。デジタルの浸透により、若者を中心に電話予約よりもネット予約のほうが気軽にお店の手配ができる雰囲気もある。

 ぐるなびがこのまま反発できる状況になるのか?ぐるなびの従業員の状況をみると、コロナ禍前の2020年3月期は従業員数は1,403人、平均年齢36.5歳、平均年収564万円だった。2023年3月期の有価証券報告書をみると、従業員数は799人、平均年齢は42.7歳、平均年収は547万円となっている。世の中が賃上げ機運のなか、ぐるなび従業員は年収減で耐えている状況だ。従業員数も約600人が会社を去っている。

■期待される、ぐるなびFineOrderとは?

 ぐるなびは、新製品として「ぐるなびFineOrder(ファインオーダー)」というモバイルオーダーシステムを提供している。店舗運営の生産性を向上させるデジタルツールだ。

 「ぐるなびFineOrder(ファインオーダー)」の契約企業数は77社とまだ多くない。特徴としては稼働店舗でのアクティブ率が98.2%と高く、解約率が0.1%と低い。世の中の流れとして、タッチパネルやスマートフォンを活用した電子オーダーに移行して、会計まで一括して実施できる流れになるのは間違いないだろう。

■ぐるなびの有料加盟店舗数の推移は?

 ぐるなびの重要指標である有料加盟店舗数をみると、総有料加盟店舗数は4.2万店舗(前年同期比△6.3%減)、そのうちストック型有料店舗数は3.3万店舗(前年同期比△1.7%減)チャートをみると、横ばいになっている印象だ。子のチャートが右肩あがりになると、ぐるなびの業績は大きく伸びるだろう。

■ぐるなびの財務状況は?

 ぐるなびの2023年12月31日時点の財務諸表をみると、現預金は53.5億円。負債をみると、有利子負債は22億円、未払金12.6億円となっている。純資産は65億円と財務諸表的に健全だ。

■ぐるなびの株価推移は?

 ぐるなびの時価総額は約150億円。きれいな右肩さがりのトレンドがつづいている。日本の飲食店はコロナ禍で財務が毀損しており、借金が大きく積み上がっていると思われる。そのなかで送客サイトにお金を使おうというマインドはそれほど高まっていない。しかしながら、インバウンド需要も高まり、飲食店の業績は上向きになっていることを考えると、どこかで、ぐるなびの業績も右肩あがりに転換するだろう。

 それまでは、ぐるなびの株価は底値を探す展開がつづくだろう。すでに、ぐるなびの大株主は楽天グループ。これから、楽天とのシナジーをいかに出すかがポイントだ。

(画像1)ぐるなびの株価推移

以 上

 

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