新電力として小売電気事業や太陽光発電の販売をするエネルギーソリューションのグリムス(gremz)。レノバ、イーレックス、エフオンなど再生エネルギー関連銘柄が高騰するなか、電力自由化の波にのり業績を拡大させているグリムス。これまで好調だったものの、2020年12月末からの日本卸電力取引所(JEPX)のスポット取引単価が高騰し、いっきに状況は一転した。今後の株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年1月8日時点)
- 株価:1,871円(10年来高値:2,602円)
- 時価総額:440億円
- 予想PER:27.5倍
- PBR:7.0倍
- 予想配当利回り:0.77%
- 自己資本比率:64.3%
- 会計基準:日本基準
■グリムスの業績は?
グリムスの2021年3月期の第二四半期の売上高は83.2億円(前年同期比+10.8%増)、営業利益16.1億円(前年同期比+60.1%増)と大幅な増収増益となった。グリムスの業績を引っ張っているのは、エネルギーコストソリューション事業と小売電気事業だ。グリムスの売上総利益率は+40.8%(前期:+38.0%)と改善傾向がつづいている。営業利益は前期の+13.4%から+19.4%に大きく改善している。
■グリムスの事業内容は?
グリムスはどのような事業をしているのだろうか?グリムスはエネルギーコストソリューション事業として、省エネ設備(電子ブレーカー、LED照明)などの販売や高圧電力需要家(工場やオフィスビルなど)への電力販売の取次や省エネ設備の販売をおこなっている。スマートハウス事業として太陽光発電システムや蓄電池を販売。また、小売電気事業では、新電力会社として主に日本卸電力取引所(JEPX)から電力を購入して顧客へ販売している。小売りする対象は、一般家庭や入札で落札した公共向けなどが対象だ。
グリムスは省エネ、電力、再生可能エネルギーのテーマを中心に機器や設備、そして電力の販売をおこなっている会社だ。アメリカや日本で再生可能エネルギー(グリーンエネルギー)が注目(重視)されており、ここ最近ではレノバ、イーレックスなどの株価が高騰している。グリムスも同様に高騰してきたものの、2020年12月末頃から日本卸電力取引所(JEPX)のスポット取引単価が数十倍に高騰している問題がある。
■日本卸電力取引所(JEPX)のスポット取引単価の高騰の影響は?
グリムスは顧客に電力を販売しているが、その電力はどこから調達しているのだろうか?グリムスは全体の約8割をJEPXから購入している。2020年12月末からJEPXのスポット取引単価が高騰し、約200円/kWh(2021年1月11日現在)まで高騰している。従来は5円~10円/kWhで推移していたものの、寒波の到来などの影響で価格が高騰している。
グリムスは顧客と約19円~28円/kWh(関西電力区域の例)で契約しているため、JEPXのスポット取引単価との差額がマイナス影響になってしまう。いつまで高騰したJEPXの単価がつづくか見通せず、グリムスの業績にどこまで影響がでるかわからない状況だ。
■いつまで続くのか電力価格の高騰は?
新電力会社はグリムスのように料金を固定している場合と、原油・天然ガス・石炭などのエネルギー価格とスライドさせている場合に分かれる。楽天でんきはグリムスと同様の料金固定型、新電力で急成長中のホープは価格スライド型だ。
いまニュースにでているケースでは、100%自然エネルギー由来の電気を供給することをかかげる「ハチドリ電力」は高騰分の電気料金を自社が負担すると公表しているものの「最低でも数千万円の損失を見込む」としている。JEPXの単価をグラフにしたところ、今回の価格上昇の大きさがわかるだろう。普段の数十倍まで電力単価が高騰している。みんな電力は、下記を公表している。
みんな電力は、電源コストを6カ月平均で調整する「電源コスト調整単価(みんなワリ)」という仕組みを採用しております。このため、電気料金が急激に高騰するようなことはございませんが、卸市場価格に連動するFIT電気の仕入れ価格の上昇分が2月以降の電気料金に反映される見込みです。
みんな電力の「卸電力市場の価格高騰に伴う2月以降の電気料金への影響と対応につきまして(個人・法人低圧契約のお客さま※)」
■グリムスの株価の行方は?
グリムスの時価総額は約450億円。ほかの新電力のホープなどにくらべると、小売電力事業だけでなく、省エネ関連や太陽光発電システム、蓄電池設備などの販売をしており事業分散ができている。今回のJEPXのスポット取引単価の急騰で一時的に株価は下げるかもしれないが、これからの成長期待は残る。ただし、当面は様子見が安全ではないだろうか。
以 上