自治体に特化したサービスを提供するホープ(6195)、電力販売で業績は急拡大中!

  自治体向けの広告事業や電力販売、ジチタイワークスなどのメディア事業を展開しているホープ。自治体に特化したサービスで他社と差別化をおこない、徹底的に自治体に関連した事業で業績を拡大させている企業だ。2005年に設立された新しい企業であるものの、前年比+273%増の急拡大により売上高は100億円突破。株価はこの2年で30倍ほど上昇している。この急成長の背景には?

■基本情報(2020年9月25日時点)

  • 株価:6,050円
  • 時価総額:363億円
  • 予想PER:36.1倍
  • PBR:29.02倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:19.1%
  • 会計基準:日本基準

■ホープの業績は?

 ホープの2020年6月期の売上高は144億円(前年比+273%)、営業利益10.2億円(前年比+11.7倍)と大幅な増収増益となった(会計方針の変更により売上高は144億円→125億円となる)。売上高の80%超を占めているのは新電力事業者としてのエネルギー事業(電力販売:GENEWAT(ジェネワット))だ。残り約19%を広告事業が占め、残り1%はメディア事業となっている。ホープは、もともとは自治体向けの広報誌などの広告枠を買い取り、企業に販売する事業が中心だったものの、2019年度より自治体関連施設向けの電力販売に参入し、業績を急拡大させている。

■急成長のホープ、電力自由化の恩恵!

 ホープの事業構成は一年前とはまったく異なり、現在は自治体向けの電力販売企業と言っても過言ではない。2020年は約2,400件の電力販売の入札に参加し、結果としては580件を落札している。自治体向けの電力市場は約1兆円といわれており、ホープの現在の供給見込額は約340億円の3.3%ほどとなっている。今後は入札件数を増やし、落札を増やしてエネルギー事業の規模を拡大していく計画だ。

 2016年4月からスタートした電力自由化により、auでんき、丸紅新電力、イーレックス、ENEOSでんき、ソフトバンクでんき、楽天でんき等、さまざまな企業が新電力事業に参入している。ホープはこれまでの自治体とのネットワークを活用して、2019年より自治体の入札に特化した電力販売に注力している。これから心配されるのは、競合他社との価格競争だ。消費者にとっては、どの新電力事業者より電力を買っても品質に違いはないからだ(結局は、東京電力などの送電網で電力が供給されているため品質に違いはない)。

■2021年のエネルギー事業はさらに拡大!

 ホープの2021年の売上高の計画は253億円と前年から倍増を計画している。その成長を支えているのは、すでに述べているエネルギー事業だ。利益の面からみても、エネルギー事業の利益額は大きく、ホープの経営陣としては伸びる事業に注力するという経営スタンスだ。

■電力販売のエネルギー事業以外は?

 ホープの急成長を支えているのは自治体向けの電力販売。その他の広告事業やメディア事業の行方はどうなるのか?公表されている資料の事業戦略を読むと、自治体向けの広告事業については「成熟フェーズ」と考えている。いっぽう、全体の売上高の約1%しかないメディア事業については、「導入フェーズ」としてこれから強化していく方針だ。具体的にはジチタイワークスのブランド力の強化と自治体情報のデータベース化を進めていく戦略だ。

 上場企業である、うるるが、NJSS(入札情報速報サービス)でしっかりと利益を計上しているケースがあるため、さまざまな自治体情報のデータベースを活用すればマネタイズの道が見えてくる可能性はある。

■ホープの株価の行方は?

 ホープの時価総額は約360億円。自治体向けの電力販売事業に参入するまでは、時価総額20~30億円くらいの超小型株だったホープ。電力事業への参入で売上高と利益が急増し、いっきに時価総額300億円を超える水準まで上昇している。2021年6月期も売上高・営業利益ともに前年比2ケタ成長を計画している。株価は急騰しているものの、この利益水準を出し続けることができるのであれば割高では決してない。

 ホープの財務諸表で心配なのは、自己資本比率が19.1%しかない点だ。急成長しているエネルギー事業により、売掛金と買掛金がともに大きく増加している。ホープが自治体の電力自由化による入札で落札できているのは、競合他社よりも安い価格で落札していると思われる。公表資料をみるかぎり、ホープの電力の調達方法は開示されておらず、契約条件によっては需要急減(落札減)により大きなリスクを抱える可能性はある。通信、ガス会社などの超大手企業も新電力会社として市場に参入しているため、これから競争が激しくなることに、個人投資家としては注意が必要だ。

(画像5)30倍近く上昇しているホープの株価

以 上

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