空き家再生のカチタス、中長期に仕入チャンスは増加!業績の行方は?

 空き家を仕入れて、リフォームして販売するビジネスモデルを構築しているカチタス。地方を中心に中古再生事業を手掛け、ターゲット層は地方在住の年収200~500万円の層。新築物件のおおよそ半値で再生住宅(戸建)を販売するモデルで成長しているカチタス。2016年には都市部中心のリプライスをグループ化して成長中。なお、ニトリホールディングスが35%の筆頭株主である。

■基本情報(2023年2月10日時点)

  • 株価:2,777円(10年来高値:4,850円)
  • 時価総額:2,184億円
  • 予想PER:23.0倍
  • PBR:5.86倍
  • 予想配当利回り:1.74%
  • 自己資本比率:56.2%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:4,878人(2022年3月31日時点)

■カチタスの業績は?

 カチタスの2023年3月期の第三四半期の売上高は887億円(前年比+16.4%増)、営業利益108億円(前年比+1.3%増)の増収増益。増益率が小さくなっているのが気になる。カチタスの売上総利益率は+22.4%(前年同期は+24.7%)、営業利益率は+12.0%(前年同期は+14.0%)と利益率が高いものの、利益率が下がってきている。

 カチタスの売上総利益は、前年同期の188億円→199億円と+11億円の増加。販管費は81.2億円→91.0億円と約10億円の増加となり、営業利益は約1.5億円の増加にとどまっている。なお、販売件数は4,646件→5,080件と+9.3%増加しているものの、1件あたりの営業利益が下がっていることを表している。

■カチタスの第三四半期の状況は?

 カチタスの2023年3月期の第三四半期(単独)を見ると、売上高は266億円→295億円と約30億円増加しているものの、営業利益は37.9億円→33.7億円と△4.2億円の減少となっている。カチタスは計画どおりであるものの、子会社の都市部を中心にビジネス展開しているリプライスの利益率が悪化している。

■カチタスの事業モデルは?

 カチタスの事業モデルはユニークで面白い。ビジネスエリアは東京、大阪、名古屋などの都市部ではなく、人口5~30万人の地方都市をターゲットにしている。主に相続等で空き地になった中古の戸建を買い取り、リノベーション(再生)して自社で販売する事業モデルだ。平均販売価格は1,552万円(税込)と新築の約半値を目指している。

 買主の年齢層は30歳代~50歳代が全体の75.5%を占める。買主の年収は200万円~500万円で、住宅ローンの年収倍率は4倍が平均だ。

 カチタスが全体の約7割の売上高を占め、残り3割が2016年に買収したリプライスが占める。どちらも中古戸建をメインに扱っている。中古再生のノウハウを持ち、カチタスは全国に123店舗、リプライスは全国に14店舗を出店している。

■カチタスの財務状況は?

 カチタスの2022年12月末の財務状況をみると、現預金は63億円、販売用不動産は約550億円。有利子負債は約200億円と極めて健全だ。他の不動産販売会社とくらべると、利益率と自己資本比率がかなり高いのが特徴だ。

 中古の再生住宅に特化しており、ノウハウを蓄積している。たしかにサイトで販売している物件をみると、フルリノベーションで新しく生まれ変わっているものの、新築とくらべて1,000万円以上は安い印象を受ける。キッチンなどの住宅設備が新品に置き換わっており、新鮮感がある。

■ニトリとの連携は?

 2017年4月にアドバンテッジパートナーズが保有していたカチタス株を233億円(持分比率34%)をニトリホールディングスに売却。現在は相互での顧客の送客、ホームステージングのサポート、部材・物流の共有などシナジーを生み出している。

 カチタスの株価は上昇トレンドとなっており、ニトリは取得価格の2倍以上の株式価値に上昇しているのではないだろうか?ニトリはVHS(バーチャルホームステージング)という画面上での家具配置のシミュレーションを実施できる技術を持っており、カチタスにその技術を提供するなどシナジーを創出できている。

■カチタスの株価の行方は?

 カチタスの時価総額は約2,100億円。ほかの不動産会社よりも再生中古戸建の販売とポイントが目立つ。また、利益率が高い。そのため、予想PER、配当利回りなどの指標でみると、株式評価が他の不動産会社よりも高い。言い換えると、利益率が悪化すると、株価が下落する幅が他の不動産会社よりも大きいと言えるだろう。

 現在の株式トレンドをみると、下落トレンドに入った可能性があり、普通の不動産会社と同じ評価になる場合、時価総額1,000億円くらいになってもおかしくない。空き家再生など社会的に価値のある事業を行っているため、今後も成長を続けてほしい企業のひとつ。

(画像1)カチタスの株価推移

以 上

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