投資用の買取再販事業(不動産)を中心に事業しているムゲンエステート。居住用にも力を入れているものの、メインは投資用だ。空き家再生のカチタスは完全に居住用で伸ばしているものの、ムゲンエステートは投資用に力をいれており、ビジネスモデルがまったく異なる。今後のムゲンエステートの業績と株価の行方は?
空き家再生のカチタス、中長期に仕入チャンスは増加!業績の行方は?(2023年2月11日投稿)
■基本情報(2023年2月10日時点)
- 株価:503円(10年来高値:1,532円)
- 時価総額:122億円
- 予想PER:7.5倍
- PBR:0.49倍
- 予想配当利回り:3.97%
- 自己資本比率:31.6%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:29,285人(2021年12月31日時点)
■ムゲンエステートの業績は?
ムゲンエステートの2022年12月期の第三四半期の売上高は217億円(前年同期比△18.2%減)、営業利益19.8億円(前年同期比△6.7%減)の減収減益となった。ムゲンエステートの売上総利益率は+23.0%(前年は+16.3%)、営業利益率は+9.1%(前年は+7.0%)と利益率は改善している。
ムゲンエステートの売上総利益は前年同期の43.2億円→49.9億円と+6.7億円の増加。いっぽう、販管費は前年同期の24.7億円→30.1億円と+5.4億円の増加と抑制することができたため、差し引きで+1.2億円の営業利益増となった。
■ムゲンエステートの事業モデルは?
ムゲンエステートは、投資用不動産や居住用不動産において中古の買取を実施し、リフォーム・リノベーションを子会社のフジホームが実施して、再販売する事業をおこなっている。売上高の比率をみると、投資用不動産が7割、居住用不動産が3割という比率で、最近は居住用不動産の比率が増加している。
また、不動産開発事業として、土地仕入、企画立案、設計などの投資物件の開発販売を実施している。「SIDEPLACE」シリーズとして賃貸や販売などを実施。
事業モデルとして心配なのは、同業のカチタスは完全に居住用の「実需」を狙っているのに対して、ムゲンエステートは投資用に偏り気味である点だ。金利の上昇により、投資用不動産の熱が一気に冷める可能性があり、若干心配な点が残る。
■ムゲンエステートの財務状況は?
ムゲンエステートの2022年9月末の財務諸表をみると、現預金は167億円(前年12月末:176億円)、販売用不動産は497億円(同:354億円)と販売用不動産を150億円ほど増加させている。いっぽう、有利子負債は約500億円ほどあり、不動産不況が到来したときに心配される構成となっている。
■ムゲンエステートの株価推移は?
ムゲンエステートの時価総額は約120億円。株価指標的には割安感があるものの、ここ3年ほどは横ばいが続いている。驚くことに、株主数は3万人ほどとなっており、この規模感の会社ではきわめて人数が多い。おそらく、配当利回りが4%近いこと、株主優待でクオカードが出ることで株主が集まっていると思われる。
しかしながら、株主数が3万人もいるものの株価が上がっていないことが悩ましい。おそらく、100株くらいの単元株主ばかりが集まっているのではないだろうか。将来的には売り圧力になるため、なかなか株価が上がらない展開が予想される。
以 上