女性向けスマホゲーム開発のcoly(コリー)、「魔法使いの約束」など大ヒット!

 女性向けキャラクターコンテンツを中心としたモバイルオンラインゲーム(スマホゲーム)の開発・運営をおこなっているcoly(コリー)。2021年2月に東証マザーズに上場したゲーム会社。colyは社長、副社長ともに女性で、社員の72.5%は女性。従業員数約230名のゲーム会社であるものの、女性中心の従業員が、女性向けコンテンツを制作するユニークな会社。colyの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年6月4日時点)

  • 株価:5,080円(10年来高値:9,890円)
  • 時価総額:280億円
  • 予想PER:20.3倍
  • PBR:13.03倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:60.9%
  • 会計基準:日本基準

■colyの業績は?

 colyの2021年1月期の売上高は63.3億円(前年比+88.5%増)、営業利益20.7億円(前年比+654%増)の大幅な増収増益となった。colyの売上総利益率は+51.5%(前年は+41.1%)、営業利益率は+32.7%(前年は+8.2%)と大幅に改善している。

■colyの事業内容は?

 colyは女性向けの自社コンテンツを中心にスマートフォンゲームやオリジナル商品を販売するコンテンツ会社。自社コンテンツとして「スタンドマイヒーローズ」(300万ダウンロード突破、アイテム課金型)、「魔法使いの約束」(500万ダウンロード突破、アイテム課金型)、「ドラッグ王子とマトリ姫」(アイテム課金型)の3つのオリジナル作品を展開している。colyはヒット作品の続編を制作する戦略で、「ドラッグ王子とマトリ姫」の続編として「スタンドマイヒーローズ」が展開されている。10年以上続く作品を続けていく方針だ。

 スマートフォンゲームで課金する一方、オリジナルのグッズの企画・制作・販売を自社展開している。colyのオリジナル作品を書籍・雑誌、TVアニメ、イベント、ユーチューブなどに展開していき、作品を育てながら稼ぐ仕組みだ。

■今後は東アジア全域への展開を検討中!

 colyは台湾・香港・韓国で作品を展開中であるが、今後は中国大陸(中国語の簡体字圏)への作品展開も検討している。中国圏向の女性向けゲーム市場の規模は2023年に約1.4兆円規模になると予測されており期待できそうだ。なお、2020年の日本国内の女性向けゲーム市場は約800億円で前年比+15%伸びているものの、中国圏の市場規模とくらべると見劣りしてしまう。

■colyの強みは自社オリジナル作品である点!

 colyの強みは自社オリジナル作品を展開している点だ。大手ゲーム会社のスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーシリーズ」や「ドラゴンクエストシリーズ」などはヒットする確率が高いものの、著作権を持っているゲーム会社への大きなロイヤリティが発生してしまう。たとえば、gumiの収益の柱であるファイナルファンタジーシリーズ「FFBE」やAimingの「ドラゴンクエストタクト」、KLabの「キャプテン翼~たたかえドリームチーム~」などは版権(著作権)を持っているスクエア・エニックスや集英社などへのロイヤリティ負担が発生する。

 colyは自社オリジナル作品であり、発生する手数料はAppleやグーグルへのプラットフォーム利用手数料のみ。スマートフォンゲーム会社のなかでも高い収益力を維持できるのではないだろうか。これまでは自社作品のみで進めてきたが、今後は他社作品との協業を検討していく方針だ。他社の有名作品との協業が発表されれば株価に大きく上昇圧力が発生すると思われる。

■colyの2022年1月期の予想は?

 colyの2022年1月期の業績予想は売上高76.9億円(前年比+21.4%増)、売上総利益40.8億円(前年比+25%増)、営業利益22.0億円(前年比+6.4%増)の増収増益を計画している。広告宣伝費や研究開発費の増加により販管費が約7億円増加する計画であり、営業利益がそれほど伸びていない。

 広告宣伝費は4.9億円を予定しているが、他のゲームメーカーにくらべると規模は小さい。女性向けに根強いファンをつかめていることが理由か。研究開発費は6.5億円を計画しており、「複数の新規作品の開発のため・・・・」と補足されており、今後の新作に期待ができそうだ。

■今後のcolyの株価の行方は?

 colyの時価総額は約280億円。上場時の2021年2月26日に最高値9,890円をつけてから、現在の株価5,080円(2021年6月4日)までほぼ半分まで株価は下落している。上場時の公募売出価格は4,130円のため、ほとんどの人は含み損を抱えている状態だ。

 ここ最近、ゲーム銘柄は株価指標的に割安感がでている。言い換えると、それほど注目されず資金が集まっていない。アカツキの時価総額は約500億円(予想PER:7.0倍)、gumiの時価総額は約330億円(予想PER:17.7倍)、ガンホーの時価総額は約2,000億円(予想PER:6.5倍)、コロプラの時価総額は約1,000億円(予想PER:14.2倍)。クラウドサービスのfreee、マネーフォワード、ラクス、SansanやヘルスケアITのエムスリー、メドピア、メドレーなどの株価水準とくらべると雲泥の差となっている。colyの時価総額も決して割安か判断がつきにくい。

スマホゲームのgumi(3903)、「ファイナルファンタジー」シリーズなど好調!(2020年7月19日投稿)

モバイルゲームのAkatsuki(アカツキ)、事業を支えるヒット作品がほしい!(2021年1月9日投稿)

「ドラゴンクエストタクト」開発のAiming、グローバル版の期待も高まる!(2020年12月26日投稿)

 ただし、colyはオリジナル作品をヒットさせる実力があり、今後の東アジアへの展開を考えると、さらなる成長に期待ができる銘柄。会社の女性比率が非常に高く、ゆくゆくは注目を集めそうな企業。引き続き、colyに注目したい。

(画像1)colyの株価推移

以 上

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