「ドラッグ王子とマトリ姫」「スタンドマイヒーローズ」「魔法使いの約束」など女性向けのモバイルオンラインゲームを展開しているcoly(コリー)。2022年5月に「&0」という新しいタイトルを発表したものの、業績は苦戦が続いている。ゲーム会社は飲食、工業製品などと異なり、ヒット作品がでないと顧客が一気にいなくなるため苦しい展開がつづいている。言い換えると、ヒット作品次第で一気に業績は一変する可能性を秘めている。
女性向けスマホゲームのコリー(Coly)、フジテレビとの協業開始へ!(2021年9月18日投稿)
女性向けスマホゲーム開発のcoly(コリー)、「魔法使いの約束」など大ヒット!(2021年6月5日投稿)
■基本情報(2022年7月1日時点)
- 株価:1,424円(10年来高値:9,890円)
- 時価総額:78億円
- 予想PER:7.8倍
- PBR:1.14倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:89.9%
- 会計基準:日本基準
■colyの業績は?
colyの2023年1月期の第一四半期の売上高は11.3億円(前年同期比△17.3%減)、営業損失△78百万円(前年同期は+3.4億円の黒字)と減収赤字転換となった。colyの売上総利益率は+41.7%(前年同期は+52.6%)と10ポイントほど低下。colyの売上原価は開発費などを計上しており、ソフトウェア勘定(B/S)に計上しておらず、将来的な費用の増加はないと思われる。
ゲーム会社によってはソフトウェア仮勘定に計上して、新規タイトルの販売予定期間によって費用計上していくケースもあるため、開発費の計上方法をしっかり確認しておくことが重要だ。言い換えると、ゲームタイトルの人気が復活すれば、colyの業績は一気に回復する可能性を秘めていると言える。
■colyの費用構成は?
colyの販管費をみると、前期の3.8億円→5.5億円と+1.7億円の増加となっている。内容としては研究開発費が+0.8億円、残りは「その他」が+0.6億円ほど増加している。「その他」の中身は開示されていないものの、前期末比で+44名の従業員が増加し、2022年4月30日時点で382名となっている。すでに従業員の規模感的にはかなり大きな組織となっている。
colyは現預金を69億円もっているものの、有利子負債はゼロ。そのため、現在の時価総額78億円はほぼ現預金の価値相当となっており、かなり割安感がある。すでに上場来高値から6分の1くらいまで株価がさがっており、若干オーバーシュートしているようにも思える。
■colyの株価の行方は?
colyの株価は上場してから下落がつづいている。ただし、ゲーム会社は1本目メガヒットの作品がでると時価総額や業績が一気に変わるので、それほど悲観的になる必要はない。自己資本比率も90%近く、財務的には極めて健全だ。
女性向けのモバイルオンラインゲームがいま以上に日常的になったときにはcolyに大きなチャンスが訪れるのではないだろうか。アニメ化によるテレビ・映画などで社会現象になる期待も残る。前年同期比で売上高がマイナスと悩ましい業績であるものの、ほぼ利益がでていないレベルにとどまり企業価値は減っていない。今後のヒット作品に期待したいところ。
以 上