「ドラッグ王子とマトリ姫」「スタンドマイヒーローズ」「魔法使いの約束」の3つのモバイルオンラインゲームを展開しているコリー(Coly)。決算発表とあわせて、フジテレビとの新作タイトルの協業スタートの発表と「スタンドマイヒーローズ」のリニューアルを発表。業績では当初業績予想に対して実績の進捗率が売上高38.3%と半分に満たず、心配な面が残る。
女性向けスマホゲーム開発のcoly(コリー)、「魔法使いの約束」など大ヒット!(2021年6月5日投稿)
■基本情報(2021年9月17日時点)
- 株価:3,835円(10年来高値:9,890円)
- 時価総額:211億円
- 予想PER:15.3倍
- PBR:3.3倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:89.5%
- 会計基準:日本基準
■コリーの業績は?
コリーの2022年1月期の第二四半期の売上高は29.4億円(前年同期比+24.7%増)、営業利益7.1億円(前年同期比+13.8%増)の増収増益となった。コリーの売上総利益率は+50.4%(前年同期は+45.4%)、営業利益率は+24.2%(前年同期は+26.6%)。売上総利益率は改善傾向となったものの、販管費が前年同期比+3億円ほど増加しており、営業利益率は悪化することとなった。
心配なのは業績予想の進捗率が売上高で38.3%、売上総利益で36.4%、営業利益で32.4%と半期が終わったにもかかわらず、50%と大きく乖離している点だ。どこかで業績下方修正が出る可能性が残る。現状の見通しとしては、2022年1月期の3Qに「スタンドマイヒーローズ」の5周年イベント、4Qに「魔法使いの約束」の2周年イベントで売上高が大きく持ち上がる予想としている。イベントの有無で大きく業績が変化してしまう現状に心配な点が残る。
■心配な去年の特需懸念
コリーはビジネス的に下期偏重で売上高が上がるとしているものの、去年は「魔法使いの約束」の1周年とヒットによって4Qに大きく売上高が上がった。ユーザーに飽きが来ていないか心配だ。
販管費を見ると、広告宣伝費は四半期で約70~90百万円にとどまり、21年1月期の4Qの1.5億円ほどは使用していない。3Qと4Qに積極的に広告宣伝費を投入したときに、売上高がしっかりと改善すればよいのだが。
■コリーの強みは?
コリーの従業員のうち、女性社員は72.8%を占める。平均年齢は28歳と若い。女性向けのエンターテインメント市場が拡大していくのであれば、コリーの業績も向上するはずと期待したい。
次回の新作は2022年春~夏頃に新規作品①、2022年秋以降に新規作品②を計画している。新規作品②はフジテレビとの協業タイトルを予定している。フジテレビとの協業タイトルでは、フジテレビが製作する新作アニメ作品を活用したゲームになる見込みだ。新規タイトルに期待したものの、今期は業績未達になる可能性も計算しておく必要がある。
■コリーの株価推移は?
コリーの時価総額は約210億円。上場時から半値以下まで株価は下落している。上場直後に公表した2021年1月期の決算では、売上高は前年比+88.5%増の63億円、営業利益は前年比+6.5倍の20.7億円を公表。その結果、過度に業績期待がかかり、2022年1月期の1Qで売上高13.7億円、営業利益3.4億円を公表すると、期待と大きなギャップがあり、株価は大きく下落した。
コリーにかぎらず、モバイルオンラインゲーム銘柄の株価は低迷している。ガンホー、アカツキ、コロプラなどアベノミクス相場に乗れていない。ただし、業績自体はそれほど悪くないため、どこかでモバイルオンラインゲーム銘柄の株価も底上げするはずだ。コリーには業績面でポジティブサプライズを出してほしい。
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以 上