不動産テックや不動産DXという新しい分野で業績を拡大してきたGAテクノロジーズ。2021年9月14日の決算発表と同時に業績下方修正を発表。GAテクノロジーズの時価総額は一時、1,500億円を超えていたものの、380億円まで下落。たった1年で株価は4分の1まで下落してしまった。GAテクノロジーズの業績と株価の行方はどうなるのか?
不動産テックのGAテクノロジーズ、投資・仲介「RENOSY(リノシ―)」攻める事業戦略!(2021年5月23日投稿)
■基本情報(2021年9月17日時点)
- 株価:1,099円(10年来高値:3,995円)
- 時価総額:383億円
- 予想PER:赤字予想
- PBR:1.97倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:65.9%
- 会計基準:日本基準
■GAテクノロジーズの業績は?
GAテクノロジーズの2021年10月期の第三四半期の売上高は550億円(前年同期比+38.2%増)、営業損失△2.8億円(前年同期は6.8億円の黒字)と増収赤字転換となった。GAテクノロジーズの売上総利益率は+14.1%(前年同期は+16.2%)と非常に低い。
不動産テックや不動産DXという看板を掲げているものの、GAテクノロジーズの主力商品は「RENOSY iBuyer」というコンパクトマンション(いわゆる50㎡以下の投資用マンション)の売買。つまり、不動産売買事業だ。2021年10月期の3Q四半期の売上高は181億円で、「RENOSY マーケットプレイス」の売上高は169億円、全体の約93%はコンパクトマンションの売上となっている。
■財務的には健全なレベル!規模拡大は問題ないか?
GAテクノロジーズは2021年1月に約135億円の公募増資を実施。有利子負債は約50億円とそれほど多くなく、現預金を100億円ほど保有している。当面の資金繰りは問題ないだろう。
GAテクノロジーズは成長段階のため、積極的な投資を行っている。「RENOSY iBuyer」のセールス人員は104名(前年同期は79名)と大幅増加。GAテクノロジーズの従業員数は743名のため、それほどセールス人員が多いというわけではない。販管費の内訳を見ると、人件費と広告宣伝費の増加が大きい。
■「RENOSY iBuyer」事業の行方は?
GAテクノロジーズの成長を支えているのは、投資用マンション販売の「RENOSY iBuyer」であることは間違いない。2021年10月期の3Qの成約件数は約8,900件、そのうち2割くらいはリピート購入のオーナーだという。
1件の投資用マンションでは利益がほとんどないため、2件目以降の購入に走るのではないだろうか?1件あたりの平均購入額は1,900~2,000万円くらいの試算になる。オーナー数は4,561名(前年同期は2,881名)となり、ここ1年で1.5倍に増加している。
■GAテクノロジーズの株価の行方は?
GAテクノロジーズの時価総額は約380億円。一時は不動産テック、不動産DX銘柄として高い株価をつけていたものの、通常の不動産銘柄の時価総額に収斂していく可能性が高い。現状、不動産テックとして株式市場で評価されているのはSREホールディングス(旧ソニー不動産)で時価総額は1,300億円。
SREホールディングス(旧ソニー不動産)、AIと不動産テックで事業成長!(2021年6月20日投稿)
GAテクノロジーズが通常の不動産銘柄に収斂する場合は、ここから株価は半値以下に下がる可能性もあるので手出し無用だ。もちろん、下落トレンドのなかで反発を繰り返しながら下がっていくので安易な手出しは火傷のもとになるので注意が必要だ。
「RENOSY」はポイントサイト「モッピー」などで紹介手数料50,000ポイントなどの販促活動をしている。過度な販促活動で売上高を嵩上げしても、継続的に伸びていくわけではないので成長鈍化時には業績が大きく崩れてしまう。株価も当然、大きく崩れる可能性があるので様子見が無難だ。
以 上