「Videoクラウド」のファインズ、売上高の伸びの鈍化が気になるところ!

 「Videoクラウド」というサービスで中小企業を中心に動画サービスを展開しているファインズ(FINES)。動画制作、動画配信、DXコンサルティングなど一連のサービスを展開している。2009年5月設立の新しい企業。テキストから動画にネットサービスが移管する中で、動画に着目している点はよい。ただ、売上高の伸びの鈍化が気になるところで、今後の株価と業績への影響はどうなるのか?

■基本情報(2023年11月2日時点)

  • 株価:639円(10年来高値:2,970円)
  • 時価総額:29億円
  • 予想PER:10.7倍
  • PBR:1.66倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:73.2%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,970人(2023年6月30日時点)

■ファインズの業績は?

 ファインズの2023年6月期の売上高は29.1億円(前年比+12.2%増)、営業利益7.4億円(前年比+24.9%増)の増収増益。ファインズの売上総利益率は+83.7%(前年は+81.1%)、営業利益率は+25.4%(前年は+22.8%)と非常に高い。

 ファインズの売上総利益は前年の21.0億円→24.4億円と+3.4億円の増加、販管費は前年の15.1億円→17.0億円と+1.9億円の増加となり、営業利益は差し引きで1.5億円の増加となった。

■ファインズの事業内容は?

 ファインズは「Videoクラウド」というサービスを展開していて、ユーザの視聴回数、視聴時間など視聴データを蓄積し、分析できるという動画サービスを展開している。具体的には、動画制作、レポート機能、DXコンサルティングなどを提供している。

 「Videoクラウド」の詳しい利益構造は公表されていないものの、動画制作でフローの売上高を稼ぎ、サブスクリプション型の課金で継続的に顧客から料金を徴収する収益モデルだ。

■ユーチューブとの違いは?

 動画としては、YouTubeでさまざまなコンテンツを公開することができるため、「Videoクラウド」の強みや違いが気になるところ。セキュリティ、VR(360度)動画など特徴的な動画の表現が可能な点と、レポート(分析)が充実している点があげられる。

 「Videoクラウド」の導入実績社数は3,390社。かなりの勢いで伸びている。2021年4月に本格リリースされており、約2年半で顧客が積み上がった計算だ。言い換えると、それほど歴史があるサービスではないので、競合他社の出現などで一気に売上高がなくなるリスクもある。動画制作単価は130万円前後となっている。内製化率は80.7%まで上がっている。

■ファインズの財務状況は?

 ファインズの2023年6月30日時点の財務状況をみると、現預金は17.4億円、のれん1.1億円、敷金1.6億円となっている。負債は、有利子負債ゼロで、契約負債(前受金)は1.9億円となっている。利益剰余金は13.1億円で財務的には健全だ。

 ファインズは2022年9月、東証グロースに上場。上場時に約5.8億円の資金調達をしている。上場時の資金調達額は小さく、資金調達が上場の目的ではない。上場時の初値の時価総額は121億円で、現在の約30億円の時価総額から考えると、すでに4分の1程度まで株価は下がっている。

 ファインズのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+4.6億円、投資CFは△83百万円、財務CFは上場による調達などで+3.9億円となっている。

■ファインズの株価推移は?

 ファインズの時価総額は約30億円。株価指標的には、かなり割安だ。株価を下げている要因は、2024年6月期の業績予想がかなり保守的なものに見えたからだ。成長投資のために減益になるのはよいとして、成長性がほとんど止まっている業績予想となっている。

 売上高29.3億円(前年比+0.6%増)、営業利益4.3億円(前年比△41.8%減)となっている。成長投資で減益になっても、売上高は2ケタの成長性はほしいところ。ファインズの事業見通しがどうなっているかわからないと株主は不安になるものだ。

 ファインズの従業員数は293名、平均年齢28.4歳、平均年収は448万円。ITサービス事業と考えると、給与水準が安い。本当に高付加価値で成長できる事業の場合は、もっと高い給与水準になっているだろう。かりに年収水準が平均600万円の場合、営業利益は4.4億円のマイナスとなる。

(画像1)ファインズの株価推移

以 上

 

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