ボタニカルシャンプー「BOTANIST」のI-ne(アイエヌイー)、ビューティーテックの行方は?

 2015年にボタニカルシャンプー「BOTANIST(ボタニスト)」を発売して売上高を急拡大させているビューティーテックカンパニーのI-ne(アイエヌイー)。2007年3月設立で従業員数は264名。2020年9月25日に東証マザーズに上場している工場を持たないファブレスメーカーだ。ヘアドライヤー・ヘアアイロンの「SALONIA(サロニア」ブランドでも市場シェアを拡大している。I-neの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年6月4日時点)

  • 株価:6,050円(10年来高値:6,550円)
  • 時価総額:529億円
  • 予想PER:57.4倍
  • PBR:7.06倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:56.2%
  • 会計基準:日本基準

■I-neの業績は?

 I-neの2021年12月期の第一四半期の売上高は71.9億円(前年同期比+42.1%増)、営業利益9.6億円(前年同期比+7.5倍)の大幅な増収増益となった。I-neの売上総利益率は+52.3%(前年同期は+53.7%)、営業利益率は+13.3%(前年同期は+2.2%)と売上規模の拡大にともない営業利益率が改善している。

■I-neの事業内容や主力商品は?

 I-neの主力製品は2015年に発売した「BOTANIST」だ。植物由来成分を配合したボタニカルシャンプーがメイン商品だ。2021年1Qの実績で37.9億円(前年同期は24.8億円)を販売している。I-neの売上高の約半分を稼いでいる製品だ。世界3ヵ国でランキングNO.1を受賞した地肌にやさしいサロン品質のヘアケアブランド。

 一般的なシャンプーである「パンテーン」「TSUBAKI」「Dove(ダブ)」などは500mlで300円~500円くらいである一方、「BOTANIST」は490mlの容量のものを1,400円~1800円くらいで販売している。もともともはD2C(Direct to Customer)としてオンライン中心だったものの、認知度が高まり、現在では1.8万の実店舗で取り扱われている。ココカラファイン、くすりの福太郎などの大手ドラッグストアにも並んでいる商品だ。

■美容家電ブランド「SALONIA」!

 I-neで「BOTANIST」に並ぶ主力製品は、美容家電製品のヘアアイロン・ヘアドライヤーの「SALONIA(サロニア)」というブランドシリーズだ。2021年1Qの売上高は20.3億円(前年同期は14.1億円)と前年同期比+43.9%伸びている。ヘアアイロンは3,000円前後とお買い得な価格帯になっている。もともとはストレートヘアアイロンのみだったものの、市場規模のより大きいヘアドライヤーに参入し、その販売比率は四半期ベースで高まっている。

 I-neのビジネスを見たときに、ボタニカルシャンプーとヘア関連の美容家電でほぼ8割くらいの売上高となっている。他には、お笑いコンビEXITと共同開発したヘアオイル・バームワックスなどのヘアスタイリング商品の「H.W.G」やタレントのダレノガレ明美と共同開発したコスメブランド「CAROME.」など複数展開している。

■I-neのポジションは?

 I-neの商品や戦略を見ていると、基本的には通販企画企業という位置づけの会社に相当する。ブランド価値を高めて、高い価格で販売する戦略だ。販管費の内訳を公表していないものの、2021年1Qで26.8億円発生しており、売上高に占める比率は37.2%となっている。おそらく、広告宣伝費が多くの部分を占めていると思われる。

 同じような事業を展開しているのは、プレミアアンチエイジングや新日本製薬、MTG、北の達人コーポレーション、ファーマフーズなど。これらの企業は基本、売上総利益率の高いファブレスメーカーで、化粧品・健康食品、美容機器などの商材が多い。

化粧品「DUO」「CANADEL」のプレミアアンチエイジング、テレビCMで業績拡大!(2021年3月28日投稿)

ニューモ育毛剤好調のファーマフーズ、9カ月間の広告宣伝費は190億円に!(2021年6月5日投稿)

「SIXPAD」「ReFa」を展開するヘルスケア器具販売のMTG!業績の行方は?(2021年4月25日投稿)

■I-neの株価の行方は?

 I-neの時価総額は約530億円。株価指標的には割安感はない。しかしながら、同じビジネスモデルのプレミアアンチエイジングやファーマフーズなどは高い株価を維持しており、前年比で大きく成長をつづけているI-neにも資金が集まってくる可能性は高い。いまの株式市況は勢いのある銘柄には資金が集まってくるため、時価総額1,000億円に到達してもおかしくない。

 ただし、I-neはここ最近ようやく利益がではじめた企業で、これまでの利益の蓄積である利益剰余金は15億円ほどしかない。いつまでグロース銘柄に資金が集まってくるか不明なため、慎重な売買が賢明だ。もちろん、「BOTANIST」や「SALONIA」と並ぶブランドを構築できれば、さらに勢いづきそうだ。ここ最近、不動産テック、ヘルスケアテックなど〇〇テックという流れが多いが、I-neの決算説明資料によると、I-neはビューティーテック(beauty tech)企業のようだ。

 期待感を持ってしまうのは中国への横展開だ。香港発祥の大手ドラッグストアチェーンのWatosons(ワトソンズ)に2021年5月より出荷を開始している。Watosonsは香港・中国大陸に約2,750店舗を展開している。また、インフルエンサーとして中国の有名女優の高園園(GAO YUANYUAN)を起用。高さんは中国版ツイッターで4,500万人を超えるフォロワーを持っている。もしかすると、2021年2Qは四半期比でも売上高は大幅増となるかもしれない。

(画像1)I-neの株価推移

以 上

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