クラウドなど最新の技術を使ってビジネスを展開している東証一部上場のチェンジ(3962)。2018年12月よりふるさと納税ポータルサイトの「ふるさとチョイス」を展開するトラストバンクを連結子会社化し、売上高は2020年9月期の第二四半期で62億円、前年同期比+68.7%と急成長している。チェンジの株価もその成長を織り込み、上場来高値付近を推移している。
■基本情報(2020年5月29日時点)
- 株価:5,280円
- 時価総額:833億円
- 予想PER:81.4倍
- PBR:12.38倍
- 予想配当利回り:0%
■トラストバンク子会社化で成長加速!
チェンジは東証一部に上場しているものの、チェンジの会社名やサービスを知っている個人投資家はほとんどいない。チェンジのもっとも代表的なサービスは連結子会社にしたトラストバンクの「ふるさとチョイス」だ。「ふるさとチョイス」は、ふるさと納税のポータルサイト。
この「ふるさとチョイス」事業は、チェンジの事業セグメントではパブリテック事業に入っていて、2020年9月期の第二四半期では売上高48億円、営業利益28.6億円と高収益を出している。営業利益率はなんと60%近い。チェンジが急成長しているように見えるのは、トラストバンクの子会社化の影響そのもの。
チェンジは2018年11月に48億円でトラストバンクの約60%の持分を取得。2019年8月に約8億円で持分を追加取得し、現在は約70%のトラストバンクの持分を所有している筆頭株主だ。
■攻めのチェンジ、未来は明るい?
チェンジはトラストバンクの持分取得だけでなく、未来への投資を積極的におこなっている。2019年10月に東証マザーズに上場したAI CROSS(4476)に出資(継続保有)、2019年2月上場の識学(7049)にも出資(全株売却済)。その他にもヘッドウォータース、ボイスタートなどIPO(株式上場)を目指すベンチャー企業に積極的に出資している。基本的にITやAIで生産性を改善する企業に出資している。
チェンジの未来は明るいか?チェンジの事業はトラストバンクのふるさと納税ポータルサイト事業以外はわかりにくい。パブリテック事業(ふるさと納税)以外では、NEW-ITトランスフォーメーション事業で売上高14億円(2020年9月の第二四半期)ほどあるものの、何をやっているかホームページ等を見ても、さっぱりわからない。
決算説明資料や中期計画をみると「デジタル人材育成市場立上げ」と書かれているが、具体的なサービスや製品は紹介されていない。決算書をみるかぎり、業績面では、パブリテック事業(ふるさと納税)と投資事業(IPO投資)に支えられている。
■ふるさと納税事業の行方は?
チェンジはトラストバンクの「ふるさとチョイス」で稼いでいるものの、現在の時価総額800億円は妥当なのか?同業他社で「ふるなび」を展開しているアイモバイル(6535)の時価総額は160億円前後。ふるさと納税の返礼品の規制が入り、今後の成長ストーリーが見えない。チェンジの株価は、トランスバンク子会社化による表面上の業績急成長が過度に織り込まれているように見えてしまう。
ふるさと納税事業は現在の制度が維持される前提でいれば、毎年安定的に収益を稼ぐことができる事業。ただし、政策の転換次第で事業規模が大きく変動するリスクはある。ふるさと納税ポータルサイト間での競争がはげしくなれば、手数料の値下げ競争になる可能性にも注意が必要だ。
■チェンジの株価推移は?
チェンジの株価は上場来高値圏に突入している。すでに上場時の最安値から株価7倍のところまで上昇している。株価指標的には割高感があるものの、成長企業であるため業績の継続的な伸びを示すことができれば、さらなる株価上昇に向かう可能性はある。ただし、すでに時価総額は800億円規模になっており、成長鈍化の兆しが見えれば、株価急落の可能性もあるので注意が必要だ。
以 上