料理レシピサイトの運営と言えばクックパッド(cookpad)。料理レシピの投稿・検索サービスのウェブサイトを運営し、個人向け有料会員と広告収入から稼ぐビジネスモデルを展開。クックパッドがネットビジネスの高成長・高収益事業を展開する優等生企業だったのは数年前までで、現在は売上高の減少に苦しんでいる。再び、クックパッドは高成長と高収益率のビジネスモデルに転換できるのだろうか。
■基本情報(2020年5月29日時点)
- 株価:314円
- 時価総額:337億円
- 予想PER:337.6倍
- PBR:1.46倍
- 予想配当利回り:0%
■減収減益がつづくクックパッド、業績の行方は?
2015年12月期には売上高147億円、営業利益65億円を稼いでいたクックパッド。当時の営業利益率はなんと40%を超えている。その超優良企業だったクックパッドは、2019年12月期になると、売上高118億円、営業利益3億円まで業績が悪化している。いったい、クックパッドに何が起こったのか?
クックパッドの業績悪化の要因は、競合他社の増加だ。いまではレシピサイトを展開する企業が増えて、たとえば、「DELISH KITCHEN(デリッシュ・キッチン)」、「みんなのきょうの料理」「キューピー3分クッキング」「白ごはん.com」「Nadia(ナディア)」など山ほど競合サイトが出てきたことが業績悪化の要因だ。
クックパッド自身も、2017年からの10年間は投資フェーズと位置づけており、業績で結果を出すよりも、長期目線で新しい市場を作っていくことに集中していく、と宣言している。しかしながら、最近の減収減益をみると、長期的にも期待をもてない状況だ。
■しぼむサービス規模、長期目線の市場はどこに?
クックパッドは配当金を出すことも止め、現在では配当ゼロの状況。会社自体が成長フェーズであればいいが、売上高が下がっているなかでの無配転落はきびしい。
クックパッドはレシピサイトの「cookpad」以外に、料理レシピのビッグデータサービスとして「たべみる」、動画の「cookpadTV」などの事業を展開している。しかし、売上高の90%は国内の「cookpad」によるプレミアム会員売上(有料課金)と広告サービスが占めている。その他の事業は売上高のたった10%にとどまる。
そのプレミアム会員数も減少に転じ、広告売上も前年比で減少が続く。クックパッドの時価総額300億円を支えているのは事業への期待ではなく、手元にある現預金223億円だ。この現預金が少しずつ減ってくれば、株価もゆっくりと下がっていく。料理レシピサイトで成功したものの、市場規模がそれほど大きくなく、新たな事業の柱をつくっていく段階で苦戦しているのが現在のクックパッドの現状だ。
■クックパッドの株価推移は?
クックパッドの株価は長期低迷中。2015年8月に2,880円の天井をつけ、そこから約5年間の長期下落トレンドが現在もつづいている。過去の高値からほぼ10分の1の株価水準。
成長企業は期待を先行して織り込んでいくものの、業績のかげりが見えると一気に下落していく。まさにクックパッドがそのような株価の実態を表した形だ。今後の成長の兆しが見えないかぎり、クックパッドの株価再浮上は難しい。
以 上