電子マネー決済のサービスを展開しているトランザクション・メディア・ネットワークス(以下、TMN)。流通業界に決済端末を展開し、電子マネー決済のサービスを提供している。株主が三菱商事、トヨタ系(トヨタフィナンシャル)など超大手が出資しているのが特徴だ。
決済代行サービスのGMOペイメントゲートウェイ、キャッシュレス追い風つづく!(2021年8月28日投稿)
■基本情報(2025年5月6日時点)
- 株価:282円(10年来高値:1,978円)
- 時価総額:104億円
- 予想PER:ー
- PBR:1.01倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:60.8%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:13,588人(2024年3月31日時点)
- 事業価値:66億円
■TMNの業績は?
TMNの2025年3月期の第三四半期の売上高は88.9億円(前年比+18.1%増)、営業利益△3.6億円の増収赤字転落となった。TMNの売上総利益率は+28.1%(前年は+31.1%)とそれほど高くない。競合であるGMOペイメントゲートウェイの売上総利益率は+70%前後のため、利益構造が異なるか、売上高のカウントのベースが大きく異なるのだろう。
TMNの売上総利益は前年の23.4億円→25.0億円と+1.6億円の増加、販管費は前年の18.8億円→28.6億円と+9.8億円の増加となり、営業利益は△8.2億円の悪化となり、赤字転落となった。
■TMNの事業内容は?
TMNはスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどの小売流通の店舗に決済端末を106万台展開し、POS、反則、決済などのサービスを展開している。売上高の内訳はセンター利用料が34億円、OR・バーコード精算料が22億円、決済端末販売が12億円などとなっている。
ストック収入が全体の76.5%であることが強みであるものの、それほど大きな伸びではない。すでに決済サービスはGMOペイメントゲートウェイ、ペイジェント、ビリングシステム、ウェルネット、SBペイメントサービスなど競合が多い事業領域。この領域でいかに強みを出すことができるのか。
TMNの決済金額は年間約4兆円の規模になっている。種類別の決済割合は、電子マネーが52%、クレジットカードが31%、QRコードが17%となっている。
■競合のGMOペイメントゲートウェイは?
競合となるGMOペイメントゲートウェイと比べるとどうなるのか?しかしながら、規模感、利益率など大きく異なっており、競合と呼べる業績の差ではない。GMOペイメントゲートウェイの年間売上高は840億円、営業利益300億円という規模感。いっぽう、TMNは売上高121億円、営業利益△6.9億円。粗利率も大きく異なる。
TMNは現在、106万台の決済端末が稼働している。いっぽう、GMOペイメントゲートウェイは16万店舗、39万IDが稼働しており、年間の決済金額は約22兆円。GMOペイメントゲートウェイは小売りだけでなく、EC、非物販(旅行、チケット、通信など)や金融関係の送金サービスなども展開している。そもそも、大きく事業ベースが異なる。
■株価の行方は?
TMNの時価総額は約100億円。すでに高値から7分の1くらいの株価になっている。ほとんどの人が含み損を抱えている。ただし、現状の業績から考えると、妥当な株価ではないだろうか。成長性と収益性がそれほど高くないため、ここから指数関数的に事業規模が広がるのであれば大きく成長するだろう。
いっぽう、期待できる点としては、三菱商事、トヨタファイナンスが出資している点だ。ローソンなどネットワークが広いので、期待できる点がある。もう一つの可能性は、決済サービスのどこか大手に買収される可能性がある点だ。

以 上