家事代行サービスのCaSy(カジー)、価格改定により売上高は上昇!

 家事代行サービスのプラットフォームを運営しているCaSy(カジー)。理想としてはプラットフォーム成約による手数料徴収であるものの、業務委託するキャスト(委託者)が圧倒的に少なく、サービス提供を十分できない状況となっている。いかにキャストを増やすかが成功のポイントだ。

家事代行マッチングのCaSy(カジー)、成長が期待できる事業モデルか!?(2022年9月11日投稿)

■基本情報(2023年7月14日時点)

  • 株価:935円(10年来高値:2,098円)
  • 時価総額:17億円
  • 予想PER:ー(利益ゼロの見通し)
  • PBR:7.75倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:50.4%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:824人(2022年11月30日時点)

■CaSyの業績は?

 CaSyの2023年11月期の第二四半期の売上高は7.4億円(前年同期比+20.0%増)、営業利益は19百万円(前年同期は△8百万円)の増収黒字転換となった。CaSyの売上総利益率は+35.7%(前年は+33.9%)と価格改定の影響で売上総利益率は+1.8ポイントの改善となった。

 CaSyの売上総利益は前年の2.1億円→2.6億円と+0.5億円の増加、販管費は前年の2.2億円→2.4億円の+0.2億円の増加となり、+0.3億円の営業利益の改善となり、+19百万円の営業利益黒字となった。ただ、営業利益を伸ばすためには、販管費の投入が必要であり、利益がしっかり出るまでには時間がかかりそうだ。

■従業員持株会の設立!

 CaSyの従業員数は21人、平均年齢37.8歳、平均年収490万円。2023年6月に従業員持株会を設立したものの、従業員が21人しかいないため、1人あたり年間10万円の積み立てをしても、年間で約200万円、5年間で1,000万円分の購入しかならず、株価上昇には限定的な影響だろう。一応、福利厚生制度の一環ということだ。

■とにかく人が足りないのでは?

 CaSyの課題は家事代行してくれる業務委託、パート・アルバイトの人が圧倒的に足りないこと。家事代行のマッチングサービスを展開しているものの、顧客の登録数は15万人を突破。いっぽう、キャストの登録者数は1.5万人くらいしかいない。CaSyのサイトをみても、常に案件に応募してくれるキャストを募集している状態で、仕事はあるものの人が足りない状況だ。

 家事代行サービスは需要があるものの、あくまで1時間あたり3,000円くらいで、2~3時間くらいの依頼に限定される。キャストの時給は1,500円スタートであり、3時間でも4,500円にとどまり、積極的に働きたい人はそれほどいないだろう。

■CaSyの財務状況は?

 CaSyの2023年5月31日時点の財務諸表をみると、現預金は3.2億円でほかに目立った資産はない。負債をみると、長期借入金が70百万円。利益剰余金は△3.8億円のマイナスであり、まだ累積で利益がでていない状況だ。

 CaSyのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは法人税等の支払い等により△0.9百万円のマイナス、投資CFは無形固定資産の支出により△4.9百万円のマイナス、財務CFはゼロ、現預金の増減は△5.7百万円のマイナスとなった。

■CaSyの株価推移は?

 CaSyの時価総額は約18億円。家事代行のマッチングサービスを提供しているものの、キャストを自社で用意しており、実質的には家事代行紹介会社となっている。売上高は前年同期比+20%と成長しているものの、純資産は2.3億円しかなく、上場して調達した1.8億円がなければ、ほぼ純資産がない状況。

 これ以上の価格改定をすると、他社に顧客が流れる可能性があり、粗利率の改善も難しいのではないだろうか。そもそも、人口減で労働人口が減っており、コンビニやレストランなどとサービス業の人材の取り合いになっている。東京都の最低賃金は時給1,000円を超えており、短時間しか働けない家事代行にキャストが集まるのか。課題は残る。

(画像1)CaSyの株価推移

以 上

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