総合リユース小売業の買取王国、インフレ下での在庫価格の上昇か?

 総合リユース小売で「価値再生感動追求業」として「買取王国」「マイシュウサガール」「工具買取王国」などを店舗展開している買取王国。この5年間の業績推移をみると、売上高はたしかに増えているものの、利益の伸びが大きい。その結果、しっかりと利益を出せるようになった。買取王国の業績と株価の行方は?

■基本情報(2023年7月14日時点)

  • 株価:1,322円(10年来高値:1,513円)
  • 時価総額:48億円
  • 予想PER:17.0倍
  • PBR:1.99倍
  • 予想配当利回り:0.6%
  • 自己資本比率:63.4%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,643人(2023年2月28日時点)

■買取王国の業績は?

 買取王国の2024年2月期の第一四半期の売上高は15.9億円(前年同期比+15.0%増)、営業利益1.4億円(前年同期比+23.1%増)の増収増益。買取王国の売上総利益率は+53.4%(前年は+54.4%)、営業利益率は+8.6%(前年は+8.0%)と営業利益率は前年を上回る。

 買取王国の売上総利益は前年7.5億円→8.5億円と+1.0億円の増加、販管費は前年6.4億円→7.1億円と+0.7億円の増加となり、差し引きで営業利益は+0.3億円の改善となった。小売としては営業利益率が8.0%台と高い水準と言えるだろう。

■買取王国の事業内容は?

 買取王国は中古品の買取・販売を展開しており、FC展開も実施している。具体的な商材は、衣料品、トレーディングカード、高級ブランド品などが主力製品だ。「マイシュウサガール」は「買取王国」で一定期間売れなかったものを販売するアウトレットの位置づけだ。

 「工具買取王国」は、電動工具、油圧工具、電材、建材などを取り扱い、メインの顧客は40~70歳の男性の職人をターゲットとしている。そのほかに「おたから買取王国」という買取専門店を出店している。

 直営店舗数は、「買取王国」が24店舗、「マイシュウサガール」が2店舗、「工具買取王国」が16店舗(FC店舗は2店舗)となっている。買取王国はそれほどIRに力を入れておらず、各店舗形態別の事業規模は開示していない。

■商材別の売上実績は?

 店舗形態別の売上高は公表していないものの、商材別の販売額は公表している。2023年2月期のデータをみると、全体の約40%はファッション関係だ。工具は約19%、その他はホビー、貴金属、ブランド、トレカとつづく。とくに、貴金属、ブランド、トレカが大きく伸びており、インフレの影響を受けているのではないかと推測する。

 言い換えると、インフレが落ち着いたときには、高く買い取った商材の利益率が落ちるのではないかと想定する。

■買取王国の財務状況は?

 買取王国の2023年5月31日時点の財務諸表をみると、現預金は7.9億円、商品14.7億円(2023年2月末は13.5億円)、有形固定資産6.2億円となっている。負債は、有利子負債が9億円となっている。自己資本比率は60%を超えており、財務的には健全だ。

■買取王国の株価推移は?

 買取王国の時価総額は約48億円。コロナ禍から業績は改善していっていたものの、2022年度に入ってから株価は一気に上昇。株主数も倍近くまで増えている。しかしながら、業績がここから更に上昇するのは難しく株価は横ばいか、業績次第では下落もあるのではないだろうか。いまの株価は適正であるものの、2022年までは株価が低すぎたと言えるだろう。

 競合他社であるトレジャー・ファクトリーもほぼ同じ株価の上昇を2022年度にしており、同じドメインの銘柄が買われている状況だ。事業規模や利益率では、買取王国はトレジャー・ファクトリーに大きく負けている。

(画像1)買取王国の株価推移

以 上

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