「ふるさとチョイス」頼みのチェンジ、DX関連の成長待ち!株価下落つづくか!?

 ふるさと納税ポータブルサイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクを傘下に持ち、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援を推進しているチェンジ。KDDI、三井住友銀行、千葉銀行などさまざまな企業とコラボレーションしているものの、DX関連の利益が伸びず、「ふるさとチョイス」に依存した業績となっている。チェンジの株価回復の行方は?

「ふるさとチョイス」のチェンジ、ふるさと納税は前年比倍増の勢い!(2021年5月30日投稿)

「ふるさとチョイス」のチェンジ、ふるさと納税ビジネス好調つづく!(2021年2月15日投稿)

■基本情報(2021年8月13日時点)

  • 株価:2,262円(10年来高値:6,390円)
  • 時価総額:1,644億円
  • 予想PER:43.6倍
  • PBR:5.6倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:80.3%
  • 会計基準:IFRS基準

■チェンジの業績は?

 チェンジの2021年9月期の第三四半期の売上高は129億円(前年同期比+59.9%増)、営業利益58.1億円(前年同期比+61.4%増)の増収増益となった。チェンジの売上総利益率は+77.9%(前年同期は+76.9%)、営業利益率は+45.5%(前年同期は+44.8%)と改善傾向となった。

 売上高129億円のうち、107億円は「ふるさとチョイス」のトラストバンクによるもの。チェンジはDXを旗印に事業を推進しているものの、トラストバンク依存から脱却できない状況がつづいている。5,000億円近かった時価総額も1,600億円まで下落して年初来安値を更新している。

■グロース銘柄の資金流出企業と流入企業の違いは?

 いまの株式相場を見ていると、チェンジ、BASE、すららネット、GMOペパボ、ロコンド、マクアケ、HENNGE(へんげ)などコロナ禍の需要高騰で株価が数倍に上昇した企業で、2020年10月~12月頃をトップに株価が半値以下まで下落している企業がみられる。いっぽうで、ラクス、freee、マネーフォワードなどのSaaS企業(クラウドITサービス)企業の株価は高値圏を維持している。

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 グロース銘柄のなかでも、ひきつづき資金が流入している企業と流出している企業に大きな差が発生している。米国のテーパリング(金融緩和の縮小)が始まると、長期金利が上昇することにより高PERのグロース銘柄の株価が下落すると言われている(将来価値の割り戻し利率が上昇する=現在価値低くなる)。チェンジは引き続き業績が伸びているものの、株式市場の資金は一足早く抜けていっているようだ。

■チェンジの不安要素は?

 チェンジの最大の不安要素は、ふるさと納税制度の縮小だ。トラストバンクの「ふるさとチョイス」に業績を依存しているため、万が一、ふるさと納税制度が縮小されるとチェンジの業績にとっては痛い。ふるさと納税制度を官房長官時代から推進してきた菅首相の支持率低下もチェンジの株価に影響を与えているかもしれない。

■チェンジの株価の行方は?

 チェンジの株価は2020年9月末に上場来最高値をつけてから下落トレンドとなっている。2021年3月に公募増資を発表し約150億円の資金を調達している。この公募増資によりチェンジ株の需給がさらに崩れて、下落トレンドに拍車がかかった状態となっている。公募増資の発行価格は3,211円のため、公募増資を引き受けた投資家は大きな含み損をかかえている状態となっている。

 いまのチェンジの株価チャートをみると、もう少し下落して、ヨコヨコ状態からの上昇トレンドにならないと株価はあがりそうにない。当面は様子見が無難ではないだろうか。

(画像1)チェンジの株価推移

以 上

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