ふるさと納税のプラットフォーム「ふるさとチョイス」を中心にビジネス展開しているチェンジ。2021年2月15日に公表した決算をみると、「ふるさとチョイス」が引き続き好調で、前年同期比+79%増の大幅な増加となった。ふるさと納税のプラットフォームは寄付金の10%前後を手数料として徴収するビジネス。ふるさと納税の政策が変わらない限りは安定的に収益を稼げる。チェンジの業績と株価の行方はどうなるのか?
「生産性をCHANGEする。」チェンジ(3962)、急成長と株価上昇!(2020年5月31日投稿)
■基本情報(2021年2月15日時点)
- 株価:3,770円(10年来高値:6,390円)
- 時価総額:2,530億円
- 予想PER:86.4倍
- PBR:34.78倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:47.5%
- 会計基準:IFRS
■チェンジの業績は?
チェンジの2021年9月期の第一四半期の売上高は78億円(前年同期比+79%増)、営業利益46.2億円(前年同期比+73.6%増)の増収増益となった。チェンジの売上総利益率は+88.1%、営業利益率は+59.2%と非常に収益性が高いのが特徴だ。チェンジのセグメント別売上高をみると、パブリテックという連結子会社のトラストバンクが運営する「ふるさとチョイス」の売上高が全体の9割以上を占めている。
ふるさと納税ビジネスは10月~12月に寄付が集中するため、チェンジにとって最も収益が高い四半期に該当する。チェンジは1月~9月のあいだは、売上総利益が一気に減り、営業利益率が一気に下がる季節性の特徴をもっている。
■エネルギー事業に参入!「えねちょ」を展開
チェンジは「ふるさとチョイス」に並ぶ次のビジネスの柱を探している。これから力を入れるのは、太陽光発電などの固定買取価格制度(FIT制度)を終えた卒FITに対するビジネス「えねちょ」だ。だいたい10年間のFIT制度を終えた太陽光発電などの再生可能エネルギーを保有する人(家庭)を対象に、発電したエネルギーで自治体に寄付できる仕組み。どこまで事業で収益を出せるかわからないが、自治体との連携をもつチェンジにとっては立ち上げやすいビジネスだ。
ふるさと納税ビジネスは、ソフトバンク系の「さとふる」、アイモバイルの「ふるなび」、楽天、ANAなど競合は多い。アイモバイルは「ふるなび」の売上高が前年比で減少していて苦戦がみられる。いっぽう、「ふるさとチョイス」は前年同期比+79%増と好調を維持し、市場シェアを奪っている構造が見える。
■チェンジの中期経営計画!?
チェンジは新しい中期経営計画を公表した。2024年度には売上高500億円、営業利益160億円、従業員数1,500名(いまの4倍)を目指す計画だ。たった4年で事業規模や収益を約3倍にするという、とてつもない計画だ。実現できた場合は、確実にいまより株価は上昇しているだろう。
■中期経営計画の具体的な数値!
チェンジは年度ごとの中期経営計画のデータも公開した。売上総利益率は70%前後、営業利益率は35%前後を目指す。チェンジは自然体(オーガニック)の成長で2倍、M&Aを活用して1倍の合計3倍の成長を目指している。チェンジは、ふるさと納税ビジネスに特化しているわけではない。チェンジが出資していたヘッドウォータース、AI CROSSは東証マザーズに上場しており、チェンジは事業の目利きができる会社。とくに生産性の改善などに特化したデジタルテクノロジーの分野に強い。
■チェンジの株価の行方は?
チェンジの時価総額は約2,500億円。中期経営計画を発表したことで、この時価総額が割高かどうかは判断しにくくなった。もし4年後に営業利益160億円(税引後当期利益100億円)を達成すると考えた場合、予想PERは25倍となり割高感はない。チェンジは一時、時価総額4,000億円まで株価は上昇したものの、現在は低迷中。それでも2020年3月のコロナショック時の最安値からは6倍の水準。経営陣としては中期経営計画により再び、株価を上昇トレンドに転換させたいのではないだろうか。
以 上