Salesforce(営業支援システム)やTableauというBIツールによるデータ可視化などの導入をサポートするシステムソリューションを提供しているSharing Innovations(以下、シェアリングイノベーションズ)。アプリ開発なども支援しており、競合他社としてはテックファーム、アイリッジ、ヤプリなどが上場会社では想定される。シェアリングイノベーションズの業績と株価の行方は?
ノーコードのアプリ開発サービス「Yappli」提供のヤプリ、成長も株価は下落へ!(2022年8月16日投稿)
■基本情報(2022年8月15日時点)
- 株価:1,962円(10年来高値:4,990円)
- 時価総額:76億円
- 予想PER:24.9倍
- PBR:5.19倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:65.0%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,648人(2021年12月31日時点)
■シェアリングイノベーションズの業績は?
シェアリングイノベーションズの2022年12月期の第二四半期の売上高は26.3億円(前年同期比+23.4%増)、営業利益2.1億円(前年同期比+10.1%増)の増収増益。売上総利益率は+23.0%(前年同期は+24.8%)、営業利益率は+7.8%(前年は+8.7%)とそれほど売上総利益率が高くないのが驚きだ。
2022年12月期の第二四半期の売上総利益は6.0億円(前年は5.3億円)、販売管理費は4.0億円(前年同期は3.4億円)だっため、若干、営業利益は増益となった。予想外に売上総利益率が高くないため、いまの利益モデルであれば、営業利益は10%が限界かもしれない。
■シェアリングイノベーションズの事業内容は?
シェアリングイノベーションズの事業は大きく3つに分かれている。クラウドインテグレーション事業、システムソリューション事業、プラットフォーム事業。もっとも売上高が高いのはシステムソリューション事業の18.1億円、主に、アプリ開発などをしている。データベース構築やビッグデータ解析なども行っている。
クラウドインテグレーション事業はSalesforce(営業管理システム)を中心としたクラウド導入支援だ。プラットフォーム事業は自社開発アプリ「ウラーラ」という占い師に悩み相談できるサービス。
シェアリングイノベーションズの強みとしては、Web開発、iPhoneやAndroidアプリ開発、基幹システム、マーケティングシステム、顧客管理(CRM)などをワンストップで受託できることが強みだ。
シェアリングイノベーションズは東京本社、京都、名古屋、広島、福岡、大分、ホーチミンにオフィスがある。従業員数は2022年5月時点で350名。親会社は東証プライムに上場しているOrchestra Holdings(オーケストラホールディングス)で70%の株を持っている。なお、シェアリングイノベーションズの平均年齢は31.5歳、平均年収は411万円とIT業界のなかでも極めて低い。
■シェアリングイノベーションズの財務状況は?
シェアリングイノベーションズは、「のれん」を6.1億円計上しており、企業買収などで計上したものと思われる。会計基準として日本基準を採用しているため、毎年、一定の償却額を計上しているはずだ。現預金は7.7億円あり、有利子負債は36百万円と少ない。財務的には極めて健全だ。ただ、利益剰余金は7.1億円しかたまっておらず、利益がで始めたのは数年前からと思われる。
シェアリングイノベーションズの本社は恵比寿ガーデンプレイスタワー。このビルには、クラウドワークス、コロプラ、クックパッド、ピアラ、アドベンチャーなど情報通信(IT)系の企業も多く入っている。
■シェアリングイノベーションズの株価は?
シェアリングイノベーションズは有名個人投資家の弐億貯男氏が投資していることでも有名だ。弐億氏は割安感のある成長小型株を中心に投資する傾向があり、シェアリングイノベーションズが該当した模様。
売上高が前年比+20%超で増加しているのは期待できるものの、売上総利益率が20%台とかなり低いのが気になる。高付加価値なサービスを提供しているのではなく、将来的にテックファームやアイリッジのように利益がでない可能性も起こりえる可能性があり心配点が残る。
以 上