建設現場をDXするスパイダープラス(SpiderPlus)、2024年働き方改革の影響?

 建設DXサービス「SPIDERPLUS」を提供しているスパイダープラス。大規模建設現場向けの施工管理SaaSを提供している。大林組、鹿島、清水建設、大成建設など大手建設会社も導入している。導入企業数は1,524社。しかしながら、本領域のトップはANDPAD社の「ANDPAD」で15.6万社が導入されている。スパイダープラスはシェア奪回ができるのか?

施工管理SaaS「SPIDER PLUS」のスパイダープラス、建設業界のDXツール!(2022年7月3日投稿)

■基本情報(2023年8月18日時点)

  • 株価:662円(10年来高値:2,629円)
  • 時価総額:231億円
  • 予想PER:赤字予想
  • PBR:6.55倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:78.4%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:7,121人(2022年12月31日時点)

■スパイダープラスの業績は?

 スパイダープラスの2023年12月期の第二四半期の売上高は14.8億円(前年比+26.8%増)、営業損益は△2.9億円(前年同期は△4.4億円)と増収赤字幅の縮小となった。スパイダープラスの売上総利益率は+63.7%(前年は+63.2%)と高いものの、まだ販管費をカバーできるほどの利益規模になっていない。

 スパイダープラスの売上総利益は前年の7.4億円→9.5億円と+2.1億円の増加、販管費は前年の11.8億円→12.4億円と+0.6億円の増加となり、営業利益には+1.5億円のプラスとなった。結果、営業損益は△4.4億円→△2.9億円と赤字1.5億円を削減。

■スパイダープラスの事業状況は?

 スパイダープラスの従業員数は251名、年間のARR(年間換算のリカーリング売上高)は30.6億円、契約企業数1,671社、利用ID数は6.3万ID、解約率0.7%。だいたい、前年比で+26%ほど増えている。

 サブスクリプション型のサービスで安定的に売上規模や契約社数が増えている。しかしながら、スパイダープラスがうまくいっているか、競合他社と比較する必要がある。競合他社のANDPAD(アンドパッド)は利用者数17万社、ユーザ数44万人。正直、スパイダープラスとANDPADで事業規模感に大きな差がある。ANDPADは2022年9月に第三者割当増資や融資などで総額122億円の資金調達を実施。累計の調達金額は209億円。ここからスパイダープラスがANDPADに追いつくのは難しいのではないだろうか。

■スパイダープラスの未来は?

 スパイダープラスの累損は△16.8億円。赤字金額は減ってきているものの、なかなか黒字化のストーリーが見えない。競合他社にスパイダープラスよりも大きな存在がいるため、気を抜いていると、あっという間にマーケットシェアを拡大されてしまうポジションにいるからだ。建設業の人手不足は理解できるものの、現場サービスとしてスパイダープラス以外の選択肢があると、成長感のあるスパイダープラスの未来を描くことができない。

■スパイダープラスの株価推移は?

 スパイダープラスの時価総額は約230億円。株価は昨年の安値から100億円くらい上昇しているものの、将来的な利益計画が見えず、現時点では割高感がある。競合他社が強いため、スパイダープラスの成長性がこれから加速していく未来が見えない。

(画像1)スパイダープラスの株価推移

以 上

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